美術家名や都市などブログ内を検索してね

2017年4月28日金曜日

【展覧会】福ねこ百段階段

http://www.hotelgajoen-tokyo.com/event/hyaku
https://www.fashion-press.net/news/29067

ミラノから4人のお客を迎えていて、前から行って見たかった「百段階段」(東京都指定有形文化財)のイベントと日にちが合ったので行って来ました。

(写真は禁止なので雅叙園のサイトから。百段階段の一部)

雅叙園は昔から面白くて好きで、海外から誰か来るとお茶しに行きます。でも唯一オリジナル建造物の百段階段は普段解放していないので見たことがありませんでした。イベントの時か、かなりゴージャスなディナーをしないと見られないのです。

毎日日光だの柴又だの歩き回っていた彼らはリュック背負ったウォーキング姿。「入っていいの?」とたじろぐくらい雅叙園は敷居が高く感じたようです。私は当然どんどん挨拶しながら入ってチケット(3段階ある:学割、ビュー割、一般)購入し、呆れたゴージャスなエレベーターへ。貝の象嵌細工の説明をしながら上階に到着。靴を脱いでいよいよ階段へ。ところが階段って言っても、メインは階段の脇にある凝ったお部屋で、そこに展示もしてあります。本当はお雛様が一番似合うけど、今回は猫。ねこネコ猫。

(写真は雅叙園のイベントサイトから)

「昭和の竜宮城」と呼ばれたという宴の間が7つあって、それぞれ違った画家や細工師が腕をふるっています。地震や経年劣化してるとはいうものの普段目にしている西洋美術とはまた違った日本美術の面白さ。感覚的には芸術というより民衆美術の領域でしょうか。

私は何と言っても建物が見たかったんだけど、猫好きにはたまらないのかよく分かりませんが、ものすごい数の猫作品が集まっています。上手いなーと思うものや、ふざけたもの、素材も色々で1000円前後だからお近くの人は行って見てはいかがでしょうか。

もちろん展覧会の後は、有名な庭や橋のあるトイレに入ります。ミラノから来た男子一名トイレからなかなか出て来ません。私は男子トイレは見たことないけど、女子と同じなのかな〜っと思ってたら、シエナ出身の彼は男子の便器が並んだ写真を撮りまくってました。


                                   (目黒雅叙園一階の女子トイレ部分)



2017年4月13日木曜日

歴史&美術で堪能:イタリア(春期)

https://www.ou.tmu.ac.jp/web/course/detail/1712I002/

首都大学東京オープンユニヴァーシティの最年長記録(?)を誇る講座です!

戦争の脅威と権力の腐敗が眼に余る昨今、歴史を振り返り学ぶことは何より重要ではないでしょうか。古代ローマから教皇庁、コロンブスやガリレオを生んだイタリアは人類史でも最も貴重なサンプルと考えます。

今年は近代を考える上でのターニングポイントとなる宗教改革五百年の年で、ドイツをはじめ世界ではルターグッズの販売から本格的な研究書まで発売されています。そんな中、南大沢の教室でずっと読んできた「ルネサンスの歴史」(モンタネッリ&ジェルヴァーゾ著藤沢道郎訳)も下巻に入りました。上巻のサブタイトルが「黄金世紀のイタリア」なのに対し下巻は「反宗教改革のイタリア」です。南大沢は首都大学の入試試験の関係で冬期はいつも短期集中講座をやるので、去年の秋の続きとなります。秋期はサヴォナローラをテーマに読みやすい一般書のこの本に加え、本格的な須藤祐孝氏の論文も合わせて詳しく見ました。

今回は『ボルジア家の人々』からです。

(写真:ローマはヴァチカンのボルジアの間の一つ。ピントリッキオとその工房による華やかなウンブリア・ルネサンス様式でルクレツィア・ボルジアが描かれている)


ボルジアに関しては「毒薬のボルジア」など、ルネサンス教皇中最悪の堕落として海外テレビドラマにもなったり(常にドラマは歴史から見るとあまりにバカらしく下らない場面に満ちてはいますが)、塩野七生もボルジア家の大ファンだし、惣領冬実の『チェーザレ』も大人気です。

私は腐敗も悪人も大嫌いだから、こういった作品とは全く違った内容の講座になることは確実です。去年は長年修復されていたヴァチカンのボルジアの間を散々撮ってきました。ピントリッキオの素晴らしさを再確認しました。ピントリッキオはルネサンス教皇達に愛されたペルージャの画家で、私が初めてイタリアに住んだ住所がピントリッキオ通り。個人的にも思い入れの深い画家です。

次の月曜日から!
ずっと続いている講座ですが、初めての方も歴史が好きなら、ローマへ行く予定があったり漫画やドラマを堪能したい方も、ぜひ!!お待ちしています。(登録は大学の上記サイトで)

2017年4月10日月曜日

西洋美術:イタリアの街

春休みが終わり首都大学東京オープンユニヴァーシティの春講座がいよいよ始まります。

今回から参加者の要望で新たな企画を始めますので、ぜひ奮ってご参加ください!
「イタリアの街をあちこち紹介してほしい」という趣旨の要望を今まで何人かの方にいただいたのでその実現です。もう十年以上西洋美術とイタリア史をやっていますが、こういう切り口でやったことはありません。

(写真:何度行っても感動する、ルッカ近郊の雨に濡れる通称悪魔の橋)

美術はどうしても様式や流派を中心に考えることが多く、イタリアや西洋美術の通史だと、8回ほどで古代から現代まで紹介するのにどうしても外せない場所や人に限られてしまいます。

今回は春期講座でイタリア全体を紹介するのではなく、できれば連続的に紹介することを念頭に置いているので、ローマやヴェネーツィアのような大変有名な街から、誰も聞いたことがないけれど珠玉の村のような場所まで混ぜこぜにして、一回一つの街を取り上げます。内容も地誌的な問題から歴史、美術、政治まで幅広く、何よりも現実にイタリアに旅に行くことを想定してお話ししますので旅の好きな人もぜひご参加ください。

(写真:もっともローマらしさが残ると言われる一角)

旅に関しては、どうしても言葉が重要になってきますので、いつもよりさらにイタリア語に慣れるようにもしたいと思います。

今週末15日(土曜日)から!
https://www.ou.tmu.ac.jp/web/course/detail/1711I001/



2017年4月6日木曜日

自力旅の基礎知識(飛行機)

当然(相手は)知ってると思っていることがそうでないことって沢山あります。
私も旅慣れてしまっているので、聞かれて驚くことがあり、まとめました。
おまかせのツアーではなく、自分(グループでも)で計画する人向けです。

① 航空券を購入する際往路だけ購入する人は滅多にいません。世界一周の旅に出かけるとか、いつ帰れるかわからないとか以外は往復で買います。

例)往路はアエロフロート、復路はアリタリア とかはありえません。

② 航空券はいろんな種類があります。
 
例)往復の日時が動かせないFIXフィックスが当然一番安く、これに早割(早期購入)などプラスすると一般的には一番安いです。

例)私はできる限りオープンチケットを買っています。これは日時が動かせるもので、未来の体調とか急な出来事とか旅先での様々な出会いとか、いろんな場合に備えて行き先だけ決めて購入するものです。当然多少高くなります。さらに、往復がオープンとか復路だけオープンとか航空会社によって様々です。

③ 到着地搭乗地は別でもOK

ローマ着ならローマから帰らねばと思っている人が多いですが、そんなことはありません。ローマ入りパレルモ出とか色々選べるので、旅の計画に最も良い選択をしてください。その際、使える空港は航空会社によって異なります。私ならまず、大雑把に重要訪問地点を決め、そこへ行くのに都合のいい飛行場を探し、そしてその空港を扱っている飛行機は何かを、格安航空券の日時と同時に検索します。

【注】日本の場合、胡散臭く(「うさんくさく」ってこう書くのか)、航空運賃と現実に請求される代金に大きな隔たりがあります。燃油サーチャージとか、空港手数料とか、代理店手数料とか払わねばならない代金を含んでいないのです。だから一眼で判断しないで、総額でいくらになるか常に考えること。

日本からヨーロッパへ行く場合、航空会社から買うより旅行代理店から買う場合が圧倒的です。ヨーロッパへ入ってしまえば、そこから先は格安航空から直に買うので本当に安いのですが、現状はそのようです。

(写真はアイルランドの格安飛行機です。イタリア国内を移動するときなど5千円かからずに行けたりするのでよく使います。歩いて機内に直に乗る感じも好き。テーマソング付き😄)

④ 距離によっては同じ金額で一本追加できる。

航空券の値段は非常に不思議でまちまちです。ローマまで飛ぶのと、そこからカターニア(シチーリア)へのフライトを追加するのと料金に変更が出なかったりします。代理店で取る時は徹底的に相談しましょう。当然代理店を通さない方が経済的ですが。

⑤ 絶対直行便が最高か?

イタリアの場合、日本から直行はアリタリアだけです。
残念ながら、アリタリアは何度も様々な危機を乗り越えて運営していて(日本も同じか)サービスの質が高いとはとても思えません。さらに往路と復路で1時間ほど差がありますが、12時間弱から12時間半は飛び続けます。

⑥ 飛行機の時間はそれほど正確ではないことに大注意!

飛行機は乗ったらすぐ飛ぶのもではなく、飛ぶまで1時間、降りるまで1時間(ひどい時は)かかるのが常識です。さらに機体の再チェックとか飛行場が混んでいるとか、天候不順とか様々な理由で1時間くらい平気で遅れます。そうすると直行でヨーロッパ入りするには14〜5時間は機内に閉じ込められることになります。問題があれば18時間くらい当たり前です。体力のある人はいいでしょうが、私のように狭いとこに閉じ込められるのが大嫌いな人には、吐き気がするほど辛いものです。

⑦ 乗換の基本

ということで乗り換えをするのも一般的ですが、南回りのように2回乗り換えとかなるとよほど時間に余裕のある人でないと2日にまたがって到着するので考えものです。ネット検索すればそういう飛行機が安い方にはたくさんあるので注意。

⑧ 乗り換え時間を選ぶ(代理店や航空会社を信用しない)

ここまで書いたように、飛行機の時間は思っているより不安定です。だから乗り換え時間はすごく重要です。乗り換え1時間とかはテロの脅威とかでチェックが厳重になった現在ありえません。よっぽど運が良く、全てが規定通りに進み、あなたがランナーで英語もすぐ理解できる上、その飛行場が大きくなければいいけどって話。

だから最低でも2時間、私はできれば2時間半の余裕をとっています。3時間半とかもいい選択だと思います。

⑨ 空港でできること

空港によりますが、免税店ばかりが空港のいいことではありません。昔と違って免税店の意味もあまりないしね。シャワーとか休憩所があります。普通にカフェもあるけど、マッサージのあるとこや、人によってはラウンジが使えて休めます。

⑩ 絶対機内持ち込み
特に往路では百パーセントお勧めします。ロスバゲ(ロスト・バゲージ=失鞄)という言葉も定着しているように、結構カバンは着きません。今回も一人ロスバゲしました。でも私の旅ではそういうことが起きるのは復路だけ。しかも、彼女が着いた日は東京が土砂降りで、翌日送られてきたのでラッキーと言ってますが。往路でこんなことになったら旅はめちゃくちゃなので絶対預けないように、強くお勧めします。当然、ぐるぐる回るカバンを待つ時間も節約できるし。お土産用に折りたたみバゲージを持って行くか、ワインや書籍など重ければ送ってしまえばいいのです。昔と違って一ヶ月も見れば到着。一週間で受け取ったこともあります。

*最後になったけど、全く言葉ができない人だけの旅はお勧めしません。そう言う人はツアー参加が安心でしょう。


2017年4月5日水曜日

私の旅の流儀:ガルファニャーナ

(以前の書き込みから)

https://www.discovertuscany.com/garfagnana/
ガルファニャーナの観光サイト(英語版)

ガルファニャーナへ行ったことのある日本人が何人いるか知らないけれど、多いはずは絶対ないのは確か。
今回、ピサを入れ替えたことでルッカから奥地の山岳渓谷地帯へ行くことになった。

(写真はがるファニャーナの要塞)


特に自然愛好家ではない私だから(圧倒的に美術館、博物館、都市愛好家なので)なんでと思うかもしれないけれど、この辺は自然遺産に登録されているというような場所ではなく、中世には巡礼が通過した小さな聖堂が点在する地域で、私はこれに目がない。

ガルファニャーナへは行けるかどうかは分からない。
ルッカを早く出て、バーニディルッカ、バルガと無駄なく時間が使えたらその後に入れてあるサプライズ地帯。それに何と言っても天候に恵まれなかったら話にならない。万一悪天候だったらできるだけルッカを遅く出て、バルガだけにしてバーニで夕飯。翌朝は早くローマへ立つ。

がっちり決めないのが私の旅の仕方。一人だったら宿も、街も、日時も決めないで旅をする。帰国便は必ずオープンにしてあるし。

2017年4月4日火曜日

シチリアの旅の感想(旅の具体的なことがわかるね)

素晴らしい感想をいただきました。U氏は首都大学東京オープンユニヴァーシティの講義を受講して下さり、美術旅行も二度目です。とても真面目な感想です。個人的なことに関する以外掲載させていただきました。

📩以後U氏のメール

1日から8日には、私達とともに旅行をしていただき、ありがとうございました。
  
  ジョバンニさん兄弟、アレキサンドロさん達のカターニャ案内は、この旅行の中でも最も印象に残る出来事でした。カターニャとシチリアが大好きになりました。すてきな人々でした。


(写真はカターニアの大聖堂広場)

  
  先生から、又、旅行を共にした人たちからも多く学ぶ点があり、楽しく旅ができました。そどのホテルも特別で楽しむことができました。

  ギリシャ、ローマの遺跡、アラブやノルマンなどの複合文化、パレルモで一番古い教会の佇まい、当時のキリスト教のあり様、どれも新鮮で、私の心に響きました。


ちょっと残念だったことは 
 帰国するアリタリア航空の飛行機が着陸するまで寒かったのと最後のホテルでの蚊の殺虫剤のため、喉を痛めて1週間ほど薬を飲むことになったことでした。これからは殺虫剤とマスクを持参したいと思います。

そして、非情な現実世界に引き戻されたのは
 ロマリア人とエリトニア人の難民が私達がシチリアに居たときに、近くの地中海で事故に会い、多くの死者が出したことを知ったときでした。この地域の複雑さと難民を引き受ける国の姿勢に、その国際性を感じました。

 
 なにはともあれ、先生の講座と旅行により、私の人生は、昨年のトスカーナ旅行から、さらに少し深まり、大きく広がったように思います。ありがとうございました。

2017年4月1日土曜日

2016年美術旅行の感想:修道院、写本他

これを書いてくださったKさんは首都大学東京オープンユニヴァーシティの「西洋美術史」の受講者中、私の感じでは一番美術、特に絵画に詳しい方です。

📩
遅まきながらローマ旅で印象的だったこと

🍷修道院にて
院内(堂内?)に描かれた絵の素晴らしさはもとより、神に一生を捧げた人々の祈りと労働の場は、農園や薬草の植物園のようでもあり、居室、作業場があり、中世の人々も病院や養護院のように頼りにしていたであろうと思いました。工房は技術や文化の継承を担う重要な役割があったと思います。権力の攻防も色々とあったのでしょうね。

📖写本について
羊皮紙の白さ、滑らかさ、艶やかさに驚きました。そして本が宝箱のような貴重品から段々と小型化して貴婦人たちも所有するようになり、マリアも手に持って描かれるようになったのだなと。

ローマについては沢山ありすぎていいつくせません。
エマヌエレ宮殿は何となく遠ざけていたけれども、隣の博物館からフォロ・ロマーノがあんな素晴らしく一望できるとは知りませんでした。
渦巻教会もみたし
教会の名前がすぐこんがらがるのが残念です。📩


(写真:ローマのカンピドーリオはカピトリーニ博物館内からのフォロ・ロマーノ)

🎨 私から

Kさんは私が通訳してる時も解説してる時も一際バチバチ写真を撮りまくっていました。良い写真を期待します。何より私は通訳、説明してる時は当然写真が撮れないので、みんなの写真をあてにしているからです。
感想に関しては具体的で、気持ちが伝わります。授業のときいつも言うように、抽象的なことしか言えないようでは身になっていない証拠。具体的な印象や質問が持てることが印象深くとらえた証拠。Kさんはまともな美術愛好家らしくローマについてだけ書いています。何と言ってもローマの大芸術に比較できる場所はないのでそれは仕方のないことですが、メディエヴァリスタ・ロマネスク愛好者の私としては、じゃ「ローマ以外について」って感想もくれるのかな?と期待します🐶

名前がこんがらがるとか覚えられないのは、語学力の問題です。仕方ないですね。カタカナでは非常に覚えにくいですから。写真楽しみにしています💓

2017年3月31日金曜日

歴史を知るのに地理も必要

http://online.seterra.com/en/vgp/3092

世界中あるけど、これはイタリアの州を覚えるサイト。
同じサイトに街もあるよ。

(サイトから。右にバジリカータをクリックって書いてある)


旅するのにも歴史を考える時も地理は役立つから暇な時ちょこっとやってみて

2017年3月30日木曜日

2016年美術旅行の感想:旅に参加するまで

私はイタリア美術の旅をやっています。で去年参加してくださったMさんの感想をそのまま貼り付け。

📩 「ぜひ、私の旅行に参加してください。」と連絡先のカードを渡してくれたこと、先生は覚えていないかもしれません。放送大学の面接授業で初めてお会いした時、フィレンツェ、サンマルコ寺院のフレスコを見てみたいと感想を述べた私に、現地でしか見られないものがたくさんあると言って渡してくれました。あの時からずっと Saba信者の私は、いつか旅行に参加したいと思い続け、一昨年初めて参加することが出来ました。今回は二回目の参加です。
世界中には、建築やそれと一体となった彫刻、フレスコやモザイク、周りの自然、風景、街並み、教会の雰囲気や光の中でしか感じられないものなど、現地に赴かなければ絶対に出会えないものが数限りなくあり、自分で現地に行って見るだけでも楽しいし感動的です。今回も初めてローマに行き、テレビや写真で見ていたイメージよりもはるかに壮大で懐の深い現地の雰囲気に圧倒されました。ルッカは、中世の雰囲気、街並みやお店のかわいらしさ、滞在したホテルの特別感など、居心地が良くて大好きな街となりました。
しかし、行く前にある程度確認していても、自分で見学するだけでは見逃してしまっているものがたくさんあります。その点、先生の旅では本物を目の前にして話を聞くことができ、本当にありがたいです。更に、あらかじめアレンジしていただいていたSan Cassiano di Controne のボランティアの方や Subiaco の僧侶の方々の説明も聞くことができました。イタリア語を習い始めた私にも少し理解することができ、とても興味深い内容でした。通訳する先生は忙しくて大変ですが、ツアー旅行や個人旅行では絶対に聞くことができないし、先生の人柄と美貌、教養に魅了され、さらに情熱を持って説明して下さっていると思われました。
また、ガイドブックにも載っていない、日本ではほとんど知られていない所で、素晴らしい所がたくさんあるということも実感しました。今回 Pisaの代替案として色々と提案していただいた結果、Barga や San Cassiano di Controne などを訪れたことは大正解だったと思います。ローマやピサなど大観光地は行こうと思えば、自分でもゆっくり巡ることが可能だと思うからです。
個人的には、Jacopo della Quercia の la tomba di Ilaria del Carrettoil を見ることが出来た上に、思いがけず Il San Martino a Cavallo を見ることが出来たのが嬉しかったです。Ponte della Maddalena も写真で見た印象とはまったく違って、実際に橋の上に登るとシャンパーニュからルッカ、シエナ、ローマにつながるに La via Francigena を通る中世の旅人のような気持ちになれました。
今回も色々な初体験がありました。イタリアの温泉、レンタサイクル、ロストバゲージなどなど。先生、そして一緒に旅行して下さった皆様、本当にお世話になりました。ありがとうございました。おいしいレストランや驚きのB&Bなど楽しい思い出がいっぱいです。次回もぜひ参加したいと思いますが日程が月末月初にかかってしまうと厳しいかなぁ・・・。イタリア語が話せて教養深い人や美人はやっぱりお得だなぁと思い知ったので、美人に生まれ変わることは出来ませんが、せめて少しでもイタリア語が話せるように精進します。 📩

(写真は世界で最も美しい石棺として名高い、ヤコポ・デッラ・クエルチャのイラリア・デル・カレット)

私から返信

まず絶対はっきりさせておかねばならないのは、私が美人のように読めるのは、ありがたいにしても正しくない情報です。授業に来てくださった方が私を認識できないので訂正(汗)。
一息ついて。今まで勝手な研究者の端くれのような私でも、大勢の方が授業に出てくださいました。Mさんはその中で圧倒的な成果を収めている(進行形)生徒です。放送大学の面接授業(短期集中講座)に出てくださったときは「文化に関心のある普通の人」だったのではないでしょうか。それが今では、怒涛のごとく喋るベネディクト会のドンや自然に冗談まじりの会話をするおじさんのイタリア語も時々分かるようになるとは大したものです。美術史の知識に関してはもう普通の人ではなくなってしまいました。仕事や家庭があってもできるようになるという見本のよう。

ヤコポ・デッラ・クエルチャは大好きな彫刻家で授業でも取り上げた事がありますが、次はルッカ人マッテーオ・チヴィターリの作品をゆっくり見て欲しいです。真逆なのがサン・カッシアーノで、技の無い自由さというか楽しさを持つロマネスクならではの不思議と謎で一杯の、メディエヴァリスタ内では非常に有名な聖堂に連れて行けたこと、みんなに喜んでもらえたこともとても嬉しく思います。

現代日本で、仕事も家庭もある人が大学院に求めるものは「自己探求」。残された半生でどこまで自分はできるのかを試すこと。伸びていると感じるとき、楽しいだけでなく、自信もつくし、余裕ができ視野が広がる。ただ暇つぶしのような人生を送るのとどれほど大きな違いがあるか、と思う。運動より考えることは歳を重ねてもずっとできるし深められるから。一緒に頑張ろう。

来年の場所も考え始めてるから興味のある人はチェックしてね💕



2017年3月29日水曜日

イタリア専門旅行サイトにロマネスク

http://www.japanitalytravel.com/arte_romanica/top.html
http://www.japanitalytravel.com/


イタリア専門旅行サイトとしては老舗で真面目なサイトです。
ロマネスクの連載を要望されて、書きました。
文字数制限とか校正が入るので百%私ではないですが見てやってください

2017年3月28日火曜日

引っ越したので昔の書き込みも

サイトを引っ越したので昔の書き込みも時々掲載したいと思う。自分の書いたものだけでなく、他の人の書き込みもあるので申し訳ないと思うから。

以下、以前の書き込みだけど、今見ても気持ちは変わらない。

(画像は首都大学東京本校舎正門。奥、左手の建物で授業してる)


首都大学東京オープンユニヴァーシティでは、年を4期に分けて講座が開かれます。毎回講座終了間際にアンケートが取られ、意見や感想が集計されます。事務や講師に対して意見を書く欄もあります。

講座を始めたばかりの頃は、全ての意見に応えようと苦労し結局できなくて不愉快になりましたが、今ではできることだけ選択して答えていこうと割り切っています。

毎回大変励まされることを書いてくださる方が数人います。今回のアンケートから一つ:

これまで本講座の講師を知らずにいました。パワフル、知識豊富。著書とかあるのでしたらぜひ読んでみたいと思いました。

心から感謝すると共に、やっぱり一般書を書かないとダメだと知らされました。ネット時代で、有名人でも無い限り本は売れないので諦めていたのですが努力します。

他にも嬉しい意見を幾つもいただきました。ありがとうございます

2017年3月26日日曜日

ムハ展:ミュシャ展ではなく

http://www.mucha2017.jp/
公式サイト

ミュシャ展:国立新美術館(六本木)

ここは所蔵作品を持たずに運営するため、全て借り出しだから作品数が少なく高い。私のように一年中美術館へ行く人には、あまり行きたくない所。西洋美術館に比べてかなりコスパが低い。でも今回の展覧会は行く価値があるとお勧め💖

借り物だから一切撮影できないのが普通だけど、今回は頑張って一部屋撮影できるのも楽しい。小さな男の子がデジカメ(携帯じゃない)で真剣に撮影してたのが印象的。私は安物携帯なので雰囲気だけですが


写真は「スラブ菩提樹の下で行われるオムラジナ会の誓い」(部分)

ミュシャ。まずその名の表記に絶対異議を唱えたい。ミュシャという表記はフランス語をカタカナにしたもの。モラヴィア(現代はチェコ)生まれの彼の名はムハ(ムッハ)になる。といってもチェコ語は非常に発音が難しくカタカナでは表記できないが仏語だって表記できないわけだし、何より今回の展覧会の目玉であり彼の追求したかった故国スラブという問題を考えれば、間違っても仏語にしてはいけないのだ!!!「こっちの方が馴染んでる」って理由だろうけど、本当気軽すぎて許せない。だってこんなにも祖国や民族の独立、自立、オリジナリティを描きたかった芸術家に極めて失礼だし、分かってないんじゃないかと疑いたくなる。日本人はありがたくも植民地化された経験がない(莫大な税金が使われていても、気付いていない)ので、そういう感覚が鈍いのだ。ミュシャはナチスドイツの拷問後に死んだというのに。

私も子供時代は、有名なパリで活躍していた頃のデザインポスターなどが大好きだった。ポスターや挿絵は生活のため(勿論楽しんで制作しているに違いないが)だったが、余裕のできた彼は祖国へ帰りチェコ民族の壮大な歴史(スラブ系語族が同じ源を有しているという空想の歴史)を描いた。20年を要した大画面の「スラブ叙事詩」、異端運動としては最大級のものとなったフスを聖人として描き、多くのチェコ愛国的なステンドグラスや、無償で行った切手のデザインなど、全てはスラブ(鑑賞者は奴隷だと認識しているだろうか)に対する熱い想いから来ているのに・・・。

彼が可哀想で私も熱くなってしまいました。

圧倒的に最初の部屋が素晴らしいですが、後半は世界有数のムハ・コレクションを持つ堺市の美術館から、初期のポスターなどの版画などがあって、その辺は一般向けに見やすい所。でもやはり全体としては「独立のための戦い」が最も重要な展覧会になっている。

美術的な点に関して。聖歌隊にいた彼は音楽を愛し、「スラブ叙事詩」もスメタナ(19世紀のチェコの音楽家)から発想したともいう。全ての作品が音楽的な雰囲気を持っているのは、構図にリズムを感じるから。彼の構成力(デザイン)が突出しているのを痛感する。

チェブラーシカと違って私は知らなかったモグラの国民的キャラも素朴で可愛い。







2017年3月25日土曜日

チェブラーシカと大エルミタージュ美術館展

大エルミタージュ美術館展
http://hermitage2017.jp/

場所:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)

大っていう形容詞は今回の展覧会についているのか美術館についているのか、日本語だと確定し難い。エルミタージュ美術館が大きいっていうんなら問題ないけど、展覧会がすごいんだっていうならう〜ん、大ってわざわざ付ける必要はないよね。

あとロシアの寂しげなかわいー有名キャラ、チェブラーシカとコラボなんだけど、ただロシアってだけが共通項。チェブラーシカが案内してくれる簡単カタログと有料ガイドは、誰を対象にしているのか本当に疑問に思う。幼稚園児のお散歩ならすごく良い企画だと思うよ。「ねえねえ、美術館ってなに?」っていうくらいなんだから。同じお金使うならもっと大人向けのしっかりした内容のカタログにして欲しい。

赤坂離宮がチープだと書いたばかりだけど、エルミタージュも昔からそういう印象を持ってる。お金かかりまくってるのはわかってるけど、デザインが安っぽい。「本物は裏切らない」っていうコピーなんだけど、エルミタージュの建物自体が、パビリオンぽい。(すいません。勝手に印象を書いています。)またまたイタリアの凄さを痛感する。だってヴァチカンやそれぞれの都市の大聖堂は全く裏切らない。イタリアが本家だからだ。それは展覧会の最初がやはりイタリア絵画で構成されている事でも分かる。

久しぶりにドルチのその名の通り甘ったるい宗教画(嫌いじゃない)やレーニなどスター画家に出会って個人的に嬉しくなる。でも面白いのは一般的には紹介されることが少ないし、名前は全く知られていないに近いカルレヴァリス、マリエスキ、パニーニ、ベッロットなど当時はすごく売れっ子だったVeduta(景観とでもいうのか)画家たちの作品で、質が高い。カナレットくらいしか知られていないのではと思うけど、実際はこういう画家はたくさんいた。ティツィアーノ展にも来ていたベッリーニ工房の系譜だと思う。

次のオランダ絵画は特徴をよく表し、非常に庶民的で美しく無いとこが凄い。皮肉だったり下品だったり面白い。フランドルは大好きだが今回は、ブリューゲルの冬景色くらい。

で「スペイン:神と聖人の世紀」ってとこ。タイトルには難癖つけたくなるが、スペインの神様度は本当に高い。今回は美術史上非常に有名なスルバランの「聖母マリアの少女時代」が来ている。画集を観て育った者には懐かしささえ感じる作品。私はスルバランが大好きだが、この作品は彼の全作品の中ではむしろ変わったもの。

(写真は展覧会の公式ページから)

フランス:古典主義〜ロココ。私は元々この辺が嫌いで、それを再確認。プッサン、ヴーエ、シャルダンら有名どころは一応揃ってるけど、個人的には宮廷美術って全然感動しない。ワトーにはたまに好きな作品がある程度。プッサンなんか評価がなぜあんなに高いのか納得できない。美術史にも政治はある。

で最後が「ドイツ・イギリス:美術大国の狭間で」このタイトルには思いっきり異議を唱えたい。イギリスには近代以前の大芸術は存在しないとほぼ言えるが、ドイツには中世から素晴らしい彫刻家や画家がいる。絶対一緒にできない。今回の展覧会に来ている作品がほとんどないので一緒なのかも。カウフマンは当時の女性、サロン文化を知るために最高の例だけど美術家としては素人だし、英国アカデミーの超重鎮ゲインズバラも、そんなに上手くないな〜と見るたびに思う。政治だ。最後がチケットにもなってるクラナハ。今年は宗教改革500年でルターグッズとか、書籍とか世界ではいっぱい出てる(日本では無関係でも)から、それに合わせてクラナハの作品もたくさん来てるが、当然だけどこの前のクラナハ展の方がずっと質が高く、数も多く面白かった。この「りんごの木下の聖母子」は彼らしいドギツさ、暗さ、エロチシズムなどが全部薄まってて迫力がない。

てことで個人的にはイタリア、オランダあたりが圧倒的に見応えがありました。

でも森アーツセンターは場所が良いし、展望台の空間も好きだし、チェブラーシカは別物で可愛くはあるので行ってみてはいかがでしょうか?






2017年3月24日金曜日

迎賓館赤坂離宮へ行って来た

http://www8.cao.go.jp/geihinkan/akasaka/akasaka.html
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg9742.html?t=50&a=1

中の写真は撮っちゃダメってことで一応お庭で一枚友人たちと撮影。


遠方からの友人のために東京見物に選んだ場所の一つです。まず一番上にサイトを載せたけど、内閣府のページが見にくい。中がどこまで見学できるのかよく分からない。お庭はとにかく見られるというので外観だけでもと行ってみたら、入館できた。予約が必要な場所は一部。外観だけなら正面からすぐ入れるが中を見学したい人は裏へ回りチケットを買う。面白かったのはチケット購入前に、空いたペットボトルなど持ってると係員の目の前で「一口飲んでください」。💣 爆弾だったら困るというわけ。なるほど。

確かに遠くから見ると綺麗。日本がいかに西洋に憧れて必死に真似ようと努力したか伝わってくる。西洋なら花壇にするところに松が植わってて面白い。錆びついた簡易テントを通過し横から入館。

真っ白い壁といいドレープのカーテンといい思いっきりベルサイユの薔薇。ベルサイユを真似て作ったらしいけど、安っぽい。頑張ったイベント会場みたい。バチカンと比べたら可哀想だけど、日本を代表する建物がこれかと思うと残念至極。進むにつれ段々慣れて来て、これはこれで面白いかと思えるようになるとはいえ、剥げた天井、薄いペンキ(油彩)・・・。唯一、鳥の七宝焼きが技の見せ所だと思いました。

一応ボランティアの係りの人がいて説明してくれるので、混んでなければ聞いた方がより楽しい。詳しい芸術の技術的な面、歴史については聞いても分からなかったけど一般的な説明はしてくれるし、修復状況なども一応わかる。アルソックの人に聞かないように。

正面脇の庭になぜかベトナムコーヒーの屋台が出てる。天気も良く、Oは来たけどTもこの正面から入るのかな〜、来なくていいけどーとかちらっと思いながら漫画みたいなお城を眺めつつ、練乳入りのこってりしたコーヒーを飲む。コーヒーもイタリアの方がいいけど、イタリアの素晴らしさを思いがけず再認識した見学でした。私は全く右翼ではないけど、芸術愛好家、日本人として日本独自の建築の方がきっと素晴らしいだろうにと、心から思った次第でした。

それでも、四谷にお越しの際は是非いかがですか?







2017年3月15日水曜日

国立のイタリア料理店でルッカ料理と

イタリア好きでも、フィレンツェ、ヴェネーツィア、ミラーノ、もちろんローマなどすっ飛ばしていきなりトスカーナはルッカを紹介する小さなイベント💖

私の研究の中心都市、トスカーナの至宝ルッカを紹介させてください💝

しかもルッカ料理と共に!ルッカ料理なんて、日本で食べられることあったっけって感じです。これはシェフがこの辺りで修行したこと、今修行中シェフが今月末にルッカへ勉強に行くことから決まりました。なので本当にルッカのお料理。謎でしょ?こうご期待💘

日時:3月18日(土)18:00〜
場所:国立駅南口徒歩5分レストラン・アルトパッショ
参加費:お料理の内容によって変わるのでレストラン頁で確認願います
(お得なディナーコース5000円、もしくは一品料理+1000円とかかな)

以下は全部レストランサイトです
https://www.facebook.com/altopascio.927/?hc_ref=PAGES_TIMELINE&fref=nf
https://twitter.com/altopascio_h
http://altopascio.exblog.jp/25611163/




写真はルッカ最大の光の祭典の夜。14世紀の貴族の衣装に身を包んだ人々が旗芸を眺めている。もうすぐ真夜中。

みんな待ってる。来てね




2017年3月12日日曜日

ヴェネツィア絵画を巡った授業

昨日、首都大学東京オープンユニヴァーシティの今期の授業が終わりました。
受講者は年齢も幅広く、女性に負けず男性も多く、知的な関心の高い人たちで、拍手を持って終えることができ感謝します。

今回のテーマは上野のティツィアーノ展に合わせて「ヴェネチィア美術」を中心に話しました。基本的に一回一人ですが、関連のある大芸術家、特に重要な歴史的背景、美術様式にも触れるようにしながら、ほとんど知られていないにもかかわらず素晴らしい画家を紹介したい(いつもだけど)という願いで選びました。

ヴェネツィア美術の流れとして
ベッリーニ工房に始まりジョルジォーネを通ってティツィアーノに至る。
んだけどそこに
最高の技量を持ちながら貧しさの中で大量の作品を残したロレンツォ・ロット
現代の漫画世代にはむしろ馴染みやすいようなカルロ・クリヴェッリ
ミケランジェロに愛され、逆鱗に触れたが故に(日本では)ほとんど無名のセバスティアーノ・デル・ピオンボを取り上げました。

特別授業として私の研究に即してアミーコ・アスペルティーニ(彼だけはヴェネツィア人ではない)も追加。

みんな知らない画家ばかりだけど、非常に面白かったといってくれました。驚くべき興味深い内容の作品も多いのに、一般には全くといっていいほど紹介されることがないので今後もそういう人を紹介していきたいです。ルノアールとかじゃなく・・・


映像は、宗教改革とミケランジェロ対ラファエッロの大戦争の只中に投げ出されたセバスティアーノの作品。何度見ても美しく平面とは思えない空気と空間表現に感動します。彫刻された絵画と言いたくなる、モニュメンタリティーに溢れた彼の作風。


2017年3月9日木曜日

強くお勧め!「ケプラーとガリレイ」書簡が明かす天才たちの素顔

出てすぐ買ったのに、内容が馴染みの、美術、歴史、イタリア、中世では足りなかったので後回しになってようやく読んだ。

素晴らしいっ!!💘
久しぶりに内容の濃い、しかも大変面白い本に出会えた。

この本はオーストリアで「最良の科学書2010」の「自然科学・技術部門」で一位を獲得しているそうだけれど全く頷ける。ドイツの有名紙に「・・・書き手が、自然科学の知識を十分に備え、生き生きとした文体を持ち・・」とあるのにも心から賛同する。翻訳も非常に小さな誤字脱字が所々あるが、内容は極めて読みやすいもので、科学の素人でも十分に感動できるものだから、これを読んでくれているすべての知的好奇心のある方に読んでほしい💖

ただサブタイトルとなっている「書簡が明かす天才たちの素顔」については期待していた内容と違った。ガリレオはフィレンツェのイタリア人で中世後期に生きた、近代を用意した最も偉大な人物の一人としてあまりにも有名で、日本語で読める本も多く、イタリア語ではガリレオの書簡なども結構出ているので私も何冊か読んだことがあった。がケプラーとの関連については知らなかったので、文字通り二人の天才の往復書簡があったのかと思ったら、真逆でほとんど一通しかない。そういった意味では肩透かしというか微妙に騙された気もするが、本自体の内容は文句なく、それまで外殻しか知らなかったケプラーについて良く分かった。もしかしたら「ティコ・ブラーエとケプラー」をもっと詳細に紹介したかったのかもしれないけど、ガリレオと題名にあったほうが売れる(読まれる)からこうしたのかなーっと思わせる節はある。ちなみに「ガリレオとケプラー」ではなく「ケプラーとガリレイ」とケプラーが先に来て、ガリレオは有名な名の方ではなく姓名の方でガリレイとなっているのも意味があるに違いない。

ただの天才二人の伝記では全くなく、歴史背景における人間の思考の有り様をよく伝えているし、素人にとっては基本的な自然科学や天文学の知識を理解、整理するのにも大変有効。

紋切り型の、古くて無知蒙昧な権威主義の教会に対して戦った英雄ガリレオというような扱いは当然していないし、ニュートンやアインシュタインの先駆けとなったケプラーも非常に中世的な人間であるとしているところなど、実に奥深い人間の複雑さを描いている。

絶対推奨





2017年2月23日木曜日

ウルトラマイナーな名前のイタリア料理店

https://www.facebook.com/altopascio.927/?pnref=story

昨日ず〜っと前から気になっていたイタリア料理店へ行きました。アルトパッショって名前。なかなかのイタリア好きだってここへ行ったことはおろか、名前を聞いたことさえない人がほとんど、っていうような町(?)の名前です。例えばイタリアへ行ったら小平とかいう名前のレストランに出あったというような感じ。東京、京都でなくても大阪とかならわかるし、実際あったりするけど、渋谷でも新宿でもなくいきなり中井とかないでしょ、みたいな。想像通りシェフがこの近辺で働いていたそうです。すごくコアなお店でした。国立近辺のイタリア好きにはオススメです。

私はアルトパッショに一軒だけある宿(B&Bで、ホテルは存在しない)に一週間泊まり込み、近辺調査をしたことがありますが、それはここが中世の巡礼街道で愛するルッカの傘下にあった地域だから。




写真は町というか村に一軒だけあるに等しい聖堂を横から撮ったところ。
塔と写真にある横の入り口に中世の雰囲気が残っています。
なぜか糸杉が美しい。

2017年2月11日土曜日

ティツィアーノ展

おととい毎度の上野へ行ってきました。ティツィアーノ展の入場券はバレンタインチケットといって、一枚で二人入れる超お得な券だったので込み込みかと思ったら、最適な混み方(興行的には残念かも)で、ゆっくり見られました。

http://www.tobikan.jp/exhibition/h28_titian.html

美術史的にはティツィアーノは、レオナルド、ミケランジェロ、ラッファエッロの三大画家に次ぐ特別な画家扱いを受けているので、もっと有名だと思っていたら以外に有名でないのを実感しました。考えてみれば美術史の本を読む人って数える程しかいないのかもしれませんが、美術史まで行かなくても、西洋美術全集とかルネサンス画集とかそういったものを見ていれば、ティツィアーノがスーパースターなのは知ってるはず。でも違うんだな〜。世の中って短期記憶でできてる部分が大きいんですね。ちょっとしたテレビとか広告で動いてる。ほんと常々思うけど媒体の責任は大きく、悪も大きい。

やっと展覧会について。

          

展覧会自体は悪く無かった。デッサン、下書き、版画ばかりで占められてると(過去にはそういうフェルメール展があった)騙された感じがするけど、ほとんどが油彩の完成品でそれなりに綺麗な絵が多く、割とわかりやすい内容ではないかと思います。

ティツィアーノはどんな画題でも描ける職人で、特にこの展覧会でもメインにしているような美人画が得意だけど、長生きしたので本当はいろんな作風がある。こういう綺麗な絵は装飾としてはいいかもしれないけど全然感動的ではないのに対して、後年の宗教画題はやはり感じさせるものがあるし、気合を入れた肖像画などは実力を感じます。

ヴェネチィア絵画を話す時に、源として忘れてはならないヴィヴァリーニとベッリーニ工房の作品は、多大な影響を与えているだけあっていつも発見があります。

個人的には、最大級に愛しているロットとピオンボの作品がかろうじてあったことが一番嬉しかったこと。ま、ロットに関しては工房作で彼の絵ではないので相当劣っていたけれど、異常に孤高感の強いロットが工房を運営していたことや、確実に彼の影響が認められることに慰められました。一方ピオンボは、私は彼の作品を求めてあちこち歩いて回っているし、ローマでの大展覧会には何度も足を運び泣きたくなるほど重い画集を買ってきた愛する画家です。一点とはいえ最も見たかった作品が見られたのが今回の展覧会の最大のヒットでした。貧しい羊飼いが振り向いた表情を捉えた小さな絵ですが、偉い人たちの肖像画ばかり並んだ壁の端で圧倒的に輝いていたと思います。

イタリアやヴェネツィア好きな人、美術の好きな人是非行ってください



2017年2月9日木曜日

ラスコー展

http://lascaux2016.jp/

「ティツィアーノ展」を見るついでにできれば行って見たいと思っていた「ラスコー展」も行ってきました。

ティツィアーノの方はバレンタインペアチケットで1枚で二人入れるめっちゃお得なチケットだったので、すごく混んでるんじゃないかと恐れてたら全く空いていて、日本にしては最高の鑑賞環境でした。それにひきかえラスコーは、想像を絶する混みようで、水曜のお昼時という時間が嘘のようでした。

国立科学博物館は近所ならもっと行きたいけど、美術優先の私にはなかなか機会がありません。人生において10回行ってないと思います。10回もっ!という人がいるかもしれませんが展覧会は楽に1000回以上だから話になりません。ま、画廊とかイタリアの聖堂なども含めての話ですが。

で、ラスコー展は洞窟の雰囲気をできるだけ再現しようという意図はわかりますが、驚くほど真っ暗になる時間が長くて、かなりのお年寄りや小さな子やお身体の不自由な人もいる中、暗闇の満員電車状態で、危険ではないかとすぐに思ってしまいました。こんなことができるなんてさすが日本は安全だ。最終日が近いといってもすごい混雑だったので1600円の当日チケット分は全然取り返せず、見れるところだけ頑張って見てきましたが、それでも美術という観点でなかなか感動しました。

というのは本当にデッサン力、画力があるのです。私はアウトドア派ではないからただ自然の石とか落書きみたいのだったら(考古学的にいかに重要でも)、全く行く気が無かったのですが、「最初の芸術」というところに惹かれて行ったのでその点は納得がいきました。様式もいくつもあり、何人もの違う画家が競って描いたのではないかと想像したくなるものです。

今では絶滅した動物とか、空想の動物なんだろうかとかいうものもありましたが、ほとんどは非常にリアルで動きや空間把握の意識もあります。ポンペイの時もそうでしたが、実際の空間を再現するというのは、特に考古学的な要素の強い場合は効果的な展示です。

あとは絶滅した巨大鹿は骨の構造が現在の動物と違うのが面白く、かっこいいし、二万年前の人も超オシャレだったのも親しみを感じました。

           

「ラスコーって有名なのねー。ティツィアーノって有名じゃないんだ〜。」というちょっと悲しい発見もありましたが。ラスコーは今週の日曜まで、ティツィアーノは都美だけど空いてるのでぜひオススメです。



2017年2月7日火曜日

ユダヤ人とは?聖書とは?

題名:賢者たちの「聖書」伝説
著者:H.N.ビアリク他(編集)
編訳:ミルトス編集部
出版:ミルトス出版 2001年

思いの外面白かった。ユダヤ人とは何か?国民国家とは何か?民族意識とは何か?が強く問われている現在、宗教、歴史に無関係な人にも意味のある本ではないかと思った。

「聖書」というとついキリスト教を思い描いてしまうけれど、これはユダヤ人にとっての聖書、つまりキリスト教徒からみた「旧約」のこと。解説書ではなく、文体は平易で文字数も少なく明らかに一般読者を対象にした作りとなっているが、内容は専門的で他ではなかなか読めないもの。

紀元前から大勢によって伝えられ成文化された聖書は、紀元前後のユダヤ人にとっても理解が難しかったので、様々な賢者によって解釈がなされてきた。一致した見解のものもあれば多くの解釈があるものもあり、それはミドラッシュ、タルムードといった形で聖書の何十倍もの膨大な文献となって成文化された。

とか書いていると専門書で固そうと思うだろうけど、内容は時にお伽話のようであり、語呂合わせやギャグ(ふざけてるのかっ?)のような時さえあって面白い。もちろんそこから、ユダヤ人の置かれた状況や歴史に想いを馳せるべきだけれど、紀元2〜16世紀に至る人々の全体の考え方、特に賢者と言われた人々がいかに「文字」「言葉」を真剣に受け止めこだわってきたのかが伝わる。歴史研究をしている人、西洋史をする人には絶対役立つしそうでない人も楽しめると思う。そして現在の不穏な世界情勢を思う。

             

上下二冊。注釈も多く資料としても使える。安いし軽い。

2017年2月5日日曜日

受講生に生かしてもらってます。グラッツィエ!!!

私はエリートとは真逆の研究者で日雇い講師💩だから、
だからなんでも持ち出しで、研究書籍も旅も交通費まで自費という哀れな状況😂

時給で授業してなんとか生活してるから、授業が無かったら生きていけない😇

ので、ひたすら授業が開講されることが必要で、
ということは授業に参加してくださる人々が私の命綱です!
全く文字通り👫👫👫

そのために授業は全力でやるように心がけてる
実際できてるかはともかく気持ちだけは本当

首都大学東京のオープンユニヴァーシティには私が初めて講義しだした頃からの、もう十年以上連続で参加してくれてる人たち、辺鄙な場所でわずかな人数でも授業させてくれてるカルチャーセンターの人たちや、放送大学の面接授業を大学側にリクエストしてくださる受講者達、震災で教室を失った後も、マクドナルドなんかで個人授業続けてくれてるイタリア語の生徒達に、

授業中は怖いけど、本当は泣きたいほど感謝してる
Grazie mille a tutti voi


去2016年のイタリア美術の旅:ローマのマルタ騎士団(一般名)の扉鍵穴からサン・ピエトロを撮影する私。派手なカバンとカーディガンはイタリア製でも帽子は純日本製。

2017年1月27日金曜日

金沢百枝先生にサインしていただきました

http://bookmeter.com/u/44611

以前から著書は読んでいたけれどお目にかかるのは初めてでした。著書の「ロマネスク美術革命」を持参して(割と最近、印象を読書メーターに書いていたので)サインを求めたところ、かわいいロマネスクを紹介する人だけあって、凄くかわいいハンコを押してもらっちゃった。これってこの本で最も印象的な柱頭彫刻だよね。楽しい👻


ありがとうございま〜す Grazie!

2017年1月21日土曜日

地震大国の日本とイタリア

http://www.asahi.com/articles/ASK1L6SR9K1LUHBI03W.html

日本もイタリアも陸地の創造自体に地震や火山が関わっているから、そういった自然災害から逃れられない。軍拡や派手なイベント(オリンピックのような)では無く、罪なく困難な状況に置かれた人たちのために国のお金は使って欲しいと、常々思っています。

当然素晴らしい芸術、歴史的価値のあるものが失われてきました。イタリアには元々そういった作品や、町自体が芸術品のような場所がいたるところにあるので喪失も甚大です。

ただ美術が好き、ではなく、政治や歴史あっての美術なのですから一緒に考えるべき。

2017年1月18日水曜日

政治とサッカーの話をするのがイタリア男

トランプが大統領に決まって、にわかに日本でも政治の話がほ〜んの少し聞かれるようになりました。イタリアでは老若男女、どこででも政治の話が聞かれます。かつては会ったらサッカーの話と政治の話をするのがイタリア男、と決まっていました。最近はもちろんそんなことはないけれど、私の友人たちも政治批判をする方が普通です。もちろん日本人のように別にどうってことない話も当然するけれど。自分たちの暮らしている社会のことを考える方が真面目な態度だし、税金を取り立てられているんだから、その使い道を気にしない方がおかしくないでしょうか?

奥深い、専門的な話をする人はごく限られているとはいえ。たとえどんなに裏切られ、落胆させられ続けて来たとはいえ・・・常に考える人であるべきだ。疲れるけどさ


よくよく見るとあまり考えているように見えない「考える人」。違う角度から見るとトイレ入ってるみたい、と思ったら同意見の人多いみたい。すんません

2017年1月17日火曜日

西洋美術大好き!L'Arte italiana ecc.: 中世西洋で生まれたもの

西洋美術大好き!L'Arte italiana ecc.: 中世西洋で生まれたもの: ブルーライト対策にいつも眼鏡をかけてマックに向かってる。どれだけ効果あるのかわからないけど・・。聖堂のたか〜いいところや、遠方の景色はもちろん、契約書とかの、読むなと言わんばかりのち〜っさい字を読むときも眼鏡が必要。 というように中世西洋の発明品は現代日本人も大いに助けてい...

中世西洋で生まれたもの

ブルーライト対策にいつも眼鏡をかけてマックに向かってる。どれだけ効果あるのかわからないけど・・。聖堂のたか〜いいところや、遠方の景色はもちろん、契約書とかの、読むなと言わんばかりのち〜っさい字を読むときも眼鏡が必要。

というように中世西洋の発明品は現代日本人も大いに助けている。

っていうような授業を今、南大沢の首都大学東京OUでやってる。南大沢の授業は大学入試があるから1月だけの集中授業で特別なので、いつもより参加者が少ないけど、通常の授業ではなかなかできない内容を一回コース(今回は6コマ)で取り上げられるので、別の楽しみがある。

昨日が初回だったから、文化の基礎である食事と衣服について取り上げた。すっごく面白かったと言ってもらえて、私もすっごく嬉しい。

いつも現代日本の私たちの生活と関連させながら授業していきたい。
興味を持ってくれた人、いつでも大歓迎。みんなよろしく✋

2017年1月12日木曜日

吉祥寺のイタリア料理店

http://www.primibaci.com/

昨日ず〜っと前から知ってるけど行ったことがなかったレストランで食べました。
吉祥寺の井の頭公園まさに入り口(テラスや窓から公園内が見える)に昔からあるプリミ・バチというお店。プリミ・バチとか書かれるとなんか蜂みたいだけど、イタリア語的にはプリミ・バーチと発音する。

期待以上に良かった。ランチだったんだけどすごくコストパフォーマンスが良いからお勧めです。有名でも高くても、ちっとも美味しくないしイタリアとは全く違うお店が多いけど、家庭では絶対できないお料理らしさ、に加えてティラミスもイタリアの味だった。

日本的なのは量がちょっとづつなことだけど、普通の日本人はこれがちょうどいい量だと思うし、見た目より内容が濃くて(味は決して濃くない)満足感あり。とにかく安く済まそうって時には使えないけど、決して高くない。

昨日は普段通りのコースだとトリッパだったんだけど、嫌いなので、特別料理のウニのたっぷりしたイカスミのパスタ(メニューにない)に変更してもらった。正解!


2017年1月9日月曜日

Museo, Pinacoteca, Galleria..

以前からイタリア語の単語の使い分けを考えてきた。

例えば日本語では、国立西洋美術館、トビ(東京都美術館)、上野の近代博物館、さらに銀座のギャラリーなどと言って「絵画館」という言葉は滅多に使わないが、(美術館は絵画館とほぼ同義語だろうか?)これをイタリア語にはめてみると

博物館 → museo(ムゼーオ)
美術館 → pinacoteca(ピナコテーカ)
ギャラリー → galleria(ガッレリーア)

となる。ムゼーオはギリシャ神話の学芸を司る女神(ムーサ)たちの住処が源だから、ある意味なんでもあり。彫刻、絵画はもちろん文字資料とか手工芸品、衣服、発明品や建築物の破片とか。

それに対しピナコテーカは「平たい板」からできた言葉で、これは紙や布(キャンバス)は新しく、昔は基本的に板絵なので板絵を集めた処、要するに絵画館。

ギャラリーは回廊という意味で、イタリア語ではトンネルのことも指すし、屋根で覆われた、部屋ではない建築的な空間のこと。だからミラノのヴィットリオ・エンマヌエーレのガッレリーアとかトリノの結婚式の撮影に使ったりする高級商店街のガッレリーアとか、なる。トンネルと高級商店街が同じ言葉というのも不思議だ。東京なら中野のサンモールもブロードウェイも(いつも笑える名前だ)ガッレリーア。話は逸れたが、イタリア語でも美術館に使われるが、それは長い回廊にズラ〜っと絵が並んで掛けられていたからで、本来は絵には無関係の言葉。

あと訳が難しいけど

accademia(アッカデミーア)がある。

これは元は学会など高等教育機関を表し、〜クラブのように使われるようになった。秘密結社っぽい。だからイタリア語では本当ならaccedemia dell'arte(芸術の学会)とする。

しかしピアノやオペラと同じで短縮して頭の部分だけで言っても判ることは少なくない。


写真はchiostro(修道院の中庭を囲む回廊空間)で、ルッカの聖フランチェスコ聖堂の回廊だった。これもガッレリーアの一例。


2017年1月8日日曜日

イタリアの美術、景観を守り愛する

http://www.fondoambiente.it/landing/faiperme-napoli/?gclid=Cj0KEQiAwMLDBRDCh_r9sMvQ_88BEiQA6zuAQ4SwM-wu7IoKWVo-oJn8mFsX4GJJiFu8q2zW9bI0lbIaAjbN8P8HAQ

"Fai per me" 「私のためにやってよっ」とでもいうような名の団体。イタリアの美術館博物館のチケットを割引料金で買える。でもそれはイタリアの美術、芸術、景観、自然を守るためにグループに登録した後。そして登録するには最低20ユーロからなる寄付をした後。

例えば大人一人だと39ユーロの寄付をすると一年間FAI(Fondo Ambiente Italiano)のメンバーになって、ローマやナポリやいろんな場所で割引チケットが買える。あの超絶技巧の頂点「ベールを被せられた死せるイエス」のサン・セヴェーロ礼拝堂が28パーセントオフだし最高半額になる。無料で入れるところもあるから旅行へ行く前に街が決まったら、是非利用してはどうでしょうか。

私は「全てはできないが何かはできる」という、恵まれない子供を救う団体のフレーズに励まされて里親(経済支援)をしてました。世の中には驚くほど献身的な偉い人がいるけど、とても真似できないのでちょこっとだけ善行を積むのです。イタリアは世界遺産を世界一多く持つ国ですが、それだけに異常に維持管理費がかかります。荒れて行く美術館や博物館はあちこちにあって、教会もどんどん閉まってしまう。旅行へ行くのが好きな人や旅行番組を楽しみにしてる人、展覧会へ行く人は特に考えてみてください。

http://www.fondoambiente.it/

イタリアのサイト

イタリアのウェブサイトは最近でこそ結構見られるものが多くなったけど、とにかく重いのが特徴。忍耐強く待って全部読み込んでみると、綺麗で音楽付きで、意味もなく動いたりして素敵な作りのものが多い。芸術家精神が見られる、とか良いように言うこともできるけどはっきり言って今時、読み込みに時間がかかるだけで見てもらえないからダメでしょっ😞 私も自分で作って実感。美術サイトだからと思って画像だらけにしたら重くて、結局やめた。

今、右のバナーにイタリアの美術館博物館サイトを載せてるんだけど、musei,itっていう、その名の通りイタリアの美術館博物館情報を集めたサイトがあって、これが気が遠くなるほど重い😵 反対に、トリップアドヴァイザーとかがやってる、勝手にみんなが書き込む形式のサイトはとにかく軽いし地図もあるからとっつきやすい。みんな利用するの分かるよね。でも正直言ってこういうサイトはテレビとおんなじで、ものすごく偏りがある上、質が高いとは思えない。私なんかみんなを連れて行くから、一応参考にするけど、自分の役には全然立たない。

できるだけ公式の、その地域の美術に関係する施設がたくさん載ってるサイトを選んでるけど、すごく作りに差がある。一目でわかる写真付きのもあれば、呆れるほどお役所的な文字資料だけのもあるし、結構な都市でも全体の施設を紹介するサイトすらないところもある。

たまに日本語サイトがあることもあるし、日本語サイトかと思いきや中国語だったりわけわかんこともあっておかしいから、美術館博物館好きの人は暇があったらクリックしてみてっ



写真はミケランジェロが熱愛したカッラーラの大理石採石場ミニツアーの入り口。
近くには現代作家による小さな大理石博物館と大理石のお土産もある。石とは思えない果物とか色々、欲しいけど重い。

今日は重いお話だった。



2017年1月6日金曜日

北イタリアの画家たち

明日から始まる首都大学東京オープンユニヴァーシティの講座では、展覧会に合わせてヴェネツィア派の画家たちと、それに関連するフェッラーラやパドヴァの画家たちを紹介します。
https://www.ou.tmu.ac.jp/web/course/detail/1641I001/

いわゆる「絵らしい」まともで美しいヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノと、その正反対に見えるけど実は関連するトゥーラ、クリヴェッリやゾッポと言った「狂気の」画家たちの対比が面白い!それに何と言ってもほとんどの日本人が見たこともないすごく変わった印象的で魅力的な画家たちの作品を紹介しようと思って、今日も資料作りしてる。期待しててっ🌟

お尻に顔のある緑の悪魔にそそのかされる聖なる司教!
負けるなっ!戦えっ!!


展覧会情報サイト

http://artscape.jp/exhibition/schedule/exhi_schedule_result.php?area=8

日にちや場所を入力して調べられるから便利かな。東京にはものすごくいろんな施設があってびっくりする。決まった有名どころばかりじゃなくいろんなところへ行って見て。
一応日本全国調べられるから、お休みの時とかに遠出するのもいいね。

画像は神奈川県立美術館葉山。
海沿いにあってすごく綺麗なところ。
レストランもいい感じ。



2017年1月5日木曜日

右側に芸術家(作る人たち)の名前リスト

聞いたこともない人がほとんどだろうけど(っていうか一般的にはダビンチ、ミケランジェロ、あとはゴッホ、ピカソ位?)、最近はカラヴァッジョとかちょっと知ってるとジオット、ボッティチェッリ、日本ではやたらフェルメールとかも人気あるか。なんて思いますが、上野の展覧会なんか大抵人が入ってるし、時には絶対に絵を見る状態じゃない込み具合もあるので、美術に関心のある人は結構いるらしい。そういう人へ紹介したい素晴らしい画家、彫刻家、建築家、要するに美術家の名前をリストにしました。
基本原語表記。カタカナは一般的な呼び方、もしくは苗字だけ。

http://www.fedesperanzacarita.com/about1

一コマ画像付き一口紹介は上のサイトを見てね
右はポントルモの傑作があるフィレンツェの礼拝堂内
ブロンジーノによる聖マタイのフレスコ。
カッコイイ!

右側に美術館や博物館サイト

サイトの右側には美術館や博物館情報をまず主に載せたい。
で、なんで日本語じゃないんだよーっ!と思うと思うのですが、まず公式サイトを載せてからと思ったのでした。最近は翻訳ソフトも進んで来たし、写真を見るだけでも違うから気になったら、日本語で探して見てね。私はとにかくイタリアに無数にある素晴らしい美術館たちを列挙したいと思います。

イタリアだったらなんたってローマに信じ難いすごい施設がいくつもあって、ルネサンスだったらフィレンツェへまず行くけど、中世だったらそれぞれの中小都市に静かでゆっくり見られる可愛らしいが、質の高い司教座博物館や県立美術館が必ずあるよ。


写真はピアチェンツァPiacenzaのファルネーゼ館Palazzo Farnese。中にはものすごく有名で興味深い、古代の占いに使われた肝臓型の彫刻や、イタリア建国時の王様がお子様時代に乗ってた乳母車?とか色々ある。一般的にはボッティチェッリの聖母子像かな。