美術家名や都市などブログ内を検索してね

2017年5月18日木曜日

2017年5月16日火曜日

イタリアの街:Taormina

首都大学東京オープンユニヴァーシティの講座で【イタリアの街】をテーマに授業しています。

2回目はシチリアのタオルミーナでした。

タオルミーナは世界のリゾート観光地として知られた場所。輝く太陽、それを受けてキラキラ反射する海、白く照り返す岩肌を持つ土地にはうちわサボテンの巨大な草叢(?)、ところどころにある古い聖堂、可愛くていかにも美味しそうなレストランやカフェ、南欧らしい大胆な色の焼き物を売るお土産屋さんが目白押し・・・。新婚旅行にも大人気の観光地。歩くなら1時間で歩けてしまうほど小さいから、迷わないし安心できるので、みんな笑顔でくつろいでる。

自然美と古代のロマンを同時に堪能できるお手軽観光地として、シチリアでは圧倒的人気第1位。日本人はほとんど立ち寄るか一泊程度の人ばかり。



でも南イタリアのほとんどの街がそうであるように起源はめっちゃ古く長い歴史を持っている。から、歴史が好きな人なら、最低3日は居たい場所。世界一美しい(間違いない)古代劇場があり、夏には現在も上演されるし、古代ローマの社会を実感できる驚愕の遺跡。中世には壮大だったドメニコ会の修道院がセレブの超リッチなホテルに改装されながらも、ひっそりと壁や壁龕に当時の美術を残していたり、道にはノルマン王朝の王達の名がつけられている。

ただタオルミーナだけ行ってシチリアを知ったことには全くならない。全く異質の場所だから。シチリアの良さは別の場所で。観光地嫌いの私でも、納得させられるかな。


2017年5月15日月曜日

イタリアの街:Bassano del Grappa

首都大学東京オープンユニヴァーシティの講座では【イタリアの街】をテーマに授業しています。

1回目は北イタリアのバッサーノデルグラッパ

結構小さな、行きやすくはない街ですが、とても綺麗でまだ日本人にはそれほど知られていない穴場です。



メインは何と言っても橋で、アルプス以北からやって来る屈強な自転車部隊とかは、ほとんど空気、見晴らし抜群の橋周辺に固まってグラッパを飲んでいます。美術や文化に興味がなくても山好きとか田舎の小さな町歩き好きとかに十分楽しめる所。

ではあるんだけれど、やはり完璧文科系の私にとってはそれではものすごく勿体無い話です。なぜって外からは想像もできない、すごい数の収集物を誇る博物館や図書館がいくつもあって、カノーヴァのような超一流の芸術家の大コレクションを堪能できます。博物館ではフィレンツェや上野、システィーナのような芋洗状態とは正反対の、ほとんど独占状態なので心ゆくまで眺め、誰にも邪魔されずに写真を撮ったりできます。

河沿いには幾つか貴族の館を改造した博物館やカフェなどあり、澄み渡る空気や紫陽花の花が印象的です。聖堂はごく少ないので教会が苦手な人には気楽な街です。



聖フランチェスコ教会の回廊を利用した博物館と西欧1を争った印刷博物館、せっかくだから最後にグラッパ博物館で、本物のグラッパを試飲して、安全この上ない街を夕方遅くまでぶらぶらするのが良い感じ。
                                                                 

2017年5月13日土曜日

映画:リアリティー

http://www.festival-cannes.fr/jp/archives/ficheFilm/id/11255642/year/2012.html
題名:リアリティー 原題:Reality
監督:Matteo Garrone マッテーオ・ガッローネ
制作:イタリア・フランス 2012年

BMI(身長と体重から健康度を計る数字)がこれほど偏った映画は他に見たことが無い。私がスタイル抜群に錯覚してしまうほど物凄い肥満度の役者が数人どころか画面一杯に、最初から最後まで出てくる。それだけで大変暑い映画だ。
主役はChristopher Meloni(『OZ』『Low & Order』などの迫力満点の俳優)を一回りちっちゃくしてふざけたようなAniello Arenaという俳優で、とてもイタリア人らしい。というかナポリっぽいというべきか。角度によってはスタローンにも似てる。
テーマは欧米でよくあるリアリティー番組に着想を得たもの。このテレビ時代、テレビに出られれば何でもいいというのを良く表している。カンヌで話題の映画だが、ストーリー展開は単純明快で演技や映像表現も奇をてらった所が無い。唯一、これでもかというほど老若男女重量級の役者の群れが画面を印象づけているの。
今回のイタリア映画祭の特別上映作品(去年は「ローマ教皇の休日」)で高い評価を受けているようだが、リアルな表現と非現実的な話の対象が鮮烈で、イタリア映画らしいといえば、心の救いをキリスト教(カトリック)に求められるかどうかという点が上げられる。個人的にはまた見たいと思うような映画では無かった。


イタリア語学習者に:イタリア語の勉強にはかなりきつい。南イタリア文化研究という見方でどうぞ。ナポリ語をやっている人は絶対に見るべし。

2017年5月11日木曜日

本:ヨーロッパ中世末期の民衆運動

題名:ヨーロッパ中世末期の民衆運動
著者:M.モラ Ph.ヴォルフ 
翻訳:瀬原義生

サブタイトルに「青い爪、ジャック、そしてチオンピ」とあるように、ウィクリフ、フス、ロラード派などは大異端者と言う了解のもと、民衆革命(巻き込まれたと言うような受動的な意味ではなく)を題材にした研究。

宗教改革5百年の今年再読。14世紀前後に多発したチョンピ、ジャクリーなどの乱は歴史における重大なターニングポイントで研究や翻訳もそれなりにあるが、これは民衆の関わりに的を絞って北欧を除くヨーロッパを対象に記される。宗教改革や異端運動の一般知識の上に読むもので、決して入門書ではない。国別に上から目線(権力側の資料が主だから仕方がないが)で解説されてきた事とは違った視点で捉えられ、世界情勢が非常に不安定な現在再読の価値あり。オタク的な図像研究などよりよほど美術を理解する上でも重要と信じる。


2017年5月7日日曜日

本:シエナ 夢見るゴシック都市

題名:シエナ 夢見るゴシック都市
著者:池上俊一
出版:中公新書

イタリアや西洋美術に関して認知させるのに貢献されている著者だから、描きなれている。高級なシエナのガイドブックと言うのだろうか。歴史、美術、風俗、食について言及されている。一般向けにしたら大変詳細で論文的な内容があったと思えば、論文ではありえない感情的情緒的な表現と論述。思考形成に自然環境が及ぼす影響については、私も以前からそう思っていたので賛同したい。が、あまりにシエナを褒め称えていて、知らない人が読んだらシエナだけのことのように思うだろうが実は他都市にも当てはまると思われる部分は多くあった。


        写真はシエナ司教座(ドゥオーモ)の伽藍から写した身廊


   シエナの博物館はメディエヴァリスタの喫水の的。ピサーノの偉大さが肌で感じられる

*なんか、池上先生の本の内容と合わない写真になっちゃった。私はピサーノを愛してるので。マンジャの塔とか普通の綺麗な景色はいくらでもネット検索できるので他でよろしく。



2017年5月3日水曜日

イタリア(外国)人と知り合うには

ネットが一般的になって世界は本当に変わった。

ミラノから来た4人が帰ったばかり。家に到着するやいなや娘の着物(母のお古)写真(はっきり言ってめちゃくちゃだが)がアップされ拍手喝采されている。古くて捨てようと思っていた着物でこれだけ喜んでもらえるんだから、誰にでも国際交流できる。


ということで、イタリア語を勉強してるけど友達がいないとか使う機会がないとか、そういう人のためにも書いてみる。

✊ 絶対最小限の言語は必要。
言葉が分からなくても友達になれるという人は、友達のレベルがすごく低い人。

基本文法と二千単語をまず目指して(そのぐらいはやる気になれば数ヶ月でできる)なれてきたかな〜と思ったら

1)その国へ旅する。
当然ツアーでなく個人旅行
意味なく「何時ですか?」とか「何がオススメですか?」とか聞いてみる

2)ネットの語学交流サイトへ登録する。
出会い系色が濃いとこと勉強色が濃いところがあるから気をつける
ちなみに私は今でもいくつか登録していてよく使う。
言葉の使い方やアクセントの位置、表現の自然さ、もっと重要なのは生活文化に関わる細々としたことで、そういったことは時代ですごく変化するし、ネットで大勢の人に聞くのが一番。

3)大使館や文化会館主催の交流イベントへ行ってみる
これは圧倒的に受け身だから主体にはならない。

そうやって友達の紹介で輪を広げていくと、この国際化社会、観光大国を目指す日本では割と簡単に交流できる。

注)イタリア人は日本男子と違ってすごくちやほやしてくれるので、女子はすぐ勘違いしてしまう。それが元で危険な目や嫌な目に合わないよう、気をつけましょう。