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2017年3月9日木曜日

強くお勧め!「ケプラーとガリレイ」書簡が明かす天才たちの素顔

出てすぐ買ったのに、内容が馴染みの、美術、歴史、イタリア、中世では足りなかったので後回しになってようやく読んだ。

素晴らしいっ!!💘
久しぶりに内容の濃い、しかも大変面白い本に出会えた。

この本はオーストリアで「最良の科学書2010」の「自然科学・技術部門」で一位を獲得しているそうだけれど全く頷ける。ドイツの有名紙に「・・・書き手が、自然科学の知識を十分に備え、生き生きとした文体を持ち・・」とあるのにも心から賛同する。翻訳も非常に小さな誤字脱字が所々あるが、内容は極めて読みやすいもので、科学の素人でも十分に感動できるものだから、これを読んでくれているすべての知的好奇心のある方に読んでほしい💖

ただサブタイトルとなっている「書簡が明かす天才たちの素顔」については期待していた内容と違った。ガリレオはフィレンツェのイタリア人で中世後期に生きた、近代を用意した最も偉大な人物の一人としてあまりにも有名で、日本語で読める本も多く、イタリア語ではガリレオの書簡なども結構出ているので私も何冊か読んだことがあった。がケプラーとの関連については知らなかったので、文字通り二人の天才の往復書簡があったのかと思ったら、真逆でほとんど一通しかない。そういった意味では肩透かしというか微妙に騙された気もするが、本自体の内容は文句なく、それまで外殻しか知らなかったケプラーについて良く分かった。もしかしたら「ティコ・ブラーエとケプラー」をもっと詳細に紹介したかったのかもしれないけど、ガリレオと題名にあったほうが売れる(読まれる)からこうしたのかなーっと思わせる節はある。ちなみに「ガリレオとケプラー」ではなく「ケプラーとガリレイ」とケプラーが先に来て、ガリレオは有名な名の方ではなく姓名の方でガリレイとなっているのも意味があるに違いない。

ただの天才二人の伝記では全くなく、歴史背景における人間の思考の有り様をよく伝えているし、素人にとっては基本的な自然科学や天文学の知識を理解、整理するのにも大変有効。

紋切り型の、古くて無知蒙昧な権威主義の教会に対して戦った英雄ガリレオというような扱いは当然していないし、ニュートンやアインシュタインの先駆けとなったケプラーも非常に中世的な人間であるとしているところなど、実に奥深い人間の複雑さを描いている。

絶対推奨





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