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2018年5月23日水曜日

旅の計画の方法:「イタリアの美術と歴史を巡る旅」の場合

旅は絶対に自分の好みにあった内容にすべき、っていうのが私の考え。

だから好みの合わない人と一緒に行くのはやめましょう!
喧嘩の元👿

私の場合は、美術作品(絵画、彫刻、建築、都市構造など)を訪ねて回るのがメインで、その合間に景観の素晴らしいところを組み込みます。私自身は毎年一ヶ月は滞在しますが、一般的には一週間から10日程度だと思うので、そんな感じで読んでください。今回は、人生一度だけじゃなく、リピーター向けです。

その時に考えることは、できるだけ移動時間を少なくし、鑑賞時間を多く摂ること👭
だから電車好きとかは全く違った旅になりますね👻
なので遠距離をあちこち移動しまくる、忙しい旅は最悪です。疲れるので鑑賞もおろそかになってしまいます。夜、観劇しながら居眠りするようなことは絶対無いようにしなくちゃ💤



1、どの辺に行くか決める。
  最低でも、北、中、南イタリアのどれかに絞る。
トスカーナのように充実した博物館や聖堂がたくさんあるような場合は、絶対トスカーナだけにして、2〜4都市に滞在する。

例)フィレンツェ(空港の発着もフィレンツェ)なら最初と最後に2泊づつ、中でシエナ、ピサ、ルッカ、ピストイアなど入れる。

ローマは何年いても見尽くせないからローマだけ10日で、近隣に日帰りするのも良い。

例)ティーボリとハドリアヌスの遺跡に1日使う。
  モンテカッシーノなど、ぽつんとした大修道院へ行く、など。

アブルッツォ、カラーブリア、サルデーニャ(当然モリーゼも)州などへ行く人は旅の強者か、友人がいる人でしょう。その辺は自然が勝負で、重要聖堂や博物館はひしめき合っていませんから、結構あちこちの街を移動しながら楽しむほうが良いと思います。距離や移動に時間がかかる上、下調べをよくする必要があります。逆に住人のような楽しみ方はできるかもしれませんが、それには言葉が必要でしょう。

2、訪問地が決まったら、絶対外せない聖堂や博物館を調べる。

それには一番時間がかかります。あっちもこっちも行きたくなるので、鑑賞時間や交通手段などを考慮しながら選択。

正直言って、一般的な日本語のガイドブックには本当に表面的なことしか載ってないから、英語ができる人は英語のガイドブックで探す。ずっと本格的な資料があります。もちろんイタリアへ行くならイタリア語が最高だけどね。

美術や歴史の好きな人は、ガイドブックじゃなく絵画や歴史の本を読んでから行くほうがいい。全く理解度が違って印象にも深く刻まれるので、何百倍も濃い旅が実現。宮下孝晴、藤沢道郎といった先生の本なら読みやすいし、入手も楽です。

あとは当然ネットを活用します。イタリアの多くの街は観光に力を入れているのでかなり情報があります。個人サイトは私も含め、当然主観なので、公式サイト(市、博物館などの)は必ず一度は見るべき。

3、最後に宿を決める。

1)とにかく経済的にしたい人  → ベッド借り(ユースホステルみたいな他人と共有の宿は、楽しめる人なら安い、楽しい、情報もあるで最高です。20ユーロくらいからあるので、私はよく使います)

2)豪華に普段と違った高級空間を求める人 →  一晩何十万もするスイートもあるけど、プール付や温泉付きなどの、いわゆる豪華リゾートホテルは沢山あります。この場合、絶対汚い格好で行くのはやめましょう。当然、それなりの出で立ちで、ゆったり構えて行ってください。でないと馬鹿にされ、不愉快な思いをするかもしれません。

3)時間がないから便利な場所に泊まりたい人 →  大抵駅前に宿はあります。間違いなくあちこち移動するには便利ですが、場所代としてコスパは悪いのが普通。


村のバス停のすぐ近くのホテルに飛び込んだら、異常にガーリー!村のメイン広場に面し(と言ったってうちのご近所付き合い程度の大きさ)ていて、町中の人の動きが監視できる。鍵をもらって裏庭から出入り。ピンクな空間に蝶々が飛び回る部屋。

4)お風呂つき、すべて日本の生活のように便利でないとダメと言う人 →  イタリアに行かない方がいいと思いますが、どうしても行くなら旅行代理店にその辺をよく相談して確認してください。当然普通の4〜5つ星のホテルになります。ヨーロッパ人はシャワーだけで生きている人がた〜くさんいて、風呂桶がないことに問題を感じません。客相手の対応も日本のように、低姿勢で愛想が良くもなかったりするのが普通。多少なりとも強くないと、生きていけないのです。

5)ホテルが嫌いな人、趣味の宿を求める人 →  修道院、元修道院、元城、元宮殿、など歴史的な建造物を改修した宿

6)慣れた人、言葉ができる長期滞在する人 →  アパート(B&B)


この宿の家主は隣に陶器を中心にしたお店も持っていて、階段がテラコッタと焼物でできている。部屋はめちゃくちゃおしゃれで、アンフォラ(古代の水甕)やモンレアーレの修道院柱頭を思わせる、透かし彫りのテラコッタが壁に埋め込まれたりしている。


5&6:これって私😜
ビジネスホテルみたいな宿大嫌い!何処でもおんなじで雰囲気なし。私は4〜5星のホテルでも普通の近代的なホテルが好きではありません。わざわざヨーロッパまで来て、なんでこんなとこ泊まるのかって思っちゃう。普通の良いホテルは、普通に綺麗で清潔で便利です。24時間フロントに誰かいて助けてもくれます。それに引き換え、歴史建造物を改造したところは、それぞれの部屋が皆違っていて、グループで行くと当たり外れがあるし、エレベーターが無かったり、扉などの使い方が日本と違ったり、お風呂は別にあるときもあります。が歴史と美術を愛する貴方ならそのほうが絶対楽しめるはず。教皇ヨハネパウロ二世が泊まった部屋とか、ルネサンス期の大商人の生活が分かるかと思えば、19世紀の貴族が作った妙な折衷型のお屋敷とか、シエナの聖カテリーナの修道院では朝からお祈りが聞こえて、私は修道女に怒られまくりましたが、それでも私はそう言うのが大好きです。


領主のお屋敷を改造した宿。周囲には農園が広がりポツンとした場所にあるので、車で送り迎えしてもらった。建物は良くも悪くも古く、部屋に電話など無いしガス設備も旧式で熱湯が出る時間に限りがあったようだ。私の泊まった部屋には壁一杯に絵がかかり、いかにもイタリアらしく面白かった。私が立っているのは二階の中庭で、17世紀の泉や、日時計のある壁など雰囲気がある。木造部分は北方らしい作り。

最近日本でも流行りのアパートと一部のB&Bは、基本的にフロントがなく、鍵を受け取って生活するので、絶対に言葉が必要です。電話をかけたり、ネットで連絡を取り合いながら落ち合って、問題が起こっても側にいないので電話などで解決します。当然普通のホテルと違って、キッチンや居間など普通のイタリア人の家のようになっている場合もあり、それがもし観光地でなかったり、辺鄙な場所ならすごく安くて綺麗です。コミュニケーションに自身のある人は利用しましょう。


サルザーナのアパートは家主のお母さんが住んで居たところで、素晴らしかった。どっしりした上質な家具などホテルと違い、住む人が自分のために大切にしていたのが分かる。

今年の宿泊場所も面白いところばかりに決まったので、また書きます💖

2018年5月20日日曜日

ポジターノ:2泊百万円のホテル

「2018;歴史と美術の旅イタリア」の後半戦はナポリとその周辺ということで、ま、アマルフィとか連れて行ったらみんな喜ぶかな〜とか思いながら、でもポジターノも近いし都合の良い方へ2泊くらいして・・・なんて気軽に考え宿を検索してみたら、唖然・・・・。

2泊で¥1018077(一部屋)と出ました。最初、どこかで間違えたかと思ったけど、入力ミスではなく本当に2泊で百万円超!

いかに「お金をかけず、面白いところ」へ泊まるかを追求している私にとって、目を疑う数字でした😳

地中海の青と太陽を受けて輝きまくるど黄色の新しい泉。こんな醜いものいらない!

丘の上から湾全体を眺められる、広いテラスでワインとオードブル。オリーブの実なんて、この辺なら美味しいとこはどこにでもあるっ!

海が見えるレストラン内の壁面に自然木が這い、天井の木を模ったシャンデリアと呼応する。ふけちゅじゃないの〜😅

と、いろいろ文句をつけるまでもなく、鼻から宿泊は無理なのでした。

ここもアメリカ映画やドラマに出てくる最高にロマンチックな街。なぜそうなったかっていうと、1953年に「ハーパーズバザー」にスタイン・ベックが寄稿したのがきっかけ。

そこは夢の場所。
実際に行ってみなければ
存在することさえ信じられないような。
そこを離れた時初めて
現実味を持って
郷愁が迫ってくる。
急勾配の斜面にへばりつく家々
その間を縫うように続く階段以外
まるきり崖なのだ。
目を疑うほど美しい青く緑がかった海が広がる
小さな入江・・

勝ってにイタリア語も交えて訳してみました。きちんと知りたい方はオリジナルを読んでください。当時のスタインベックは「怒りの葡萄」「エデンの東」などで成功した大注目作家でした。彼は、本当は紹介したくないとか言ってますが、その発言は今も影響力を持っています。


さらに50年代はアメリカの成功者たちが続々とヨーロッパへ観光しに押し寄せていたこともあり、それまで本当に美しかった田舎のアマルフィ海岸はすっかり、観光地化されてしまいました。な訳で、格差社会を気にもかけない冷酷なセレブリティ御用達の、有名ホテルがあるのでした。

あー、びっくりした。絶対泊まらないけど(泊まれないだけじゃなく、お金があっても泊まるもんかと思う私であってほしい😇)、時間が許せばアマルフィの宿から1時間超でいけるので寄ってみるかも。でした。
追伸:ちなみにもちろんこれより経済的な部屋もあります。


2018年5月11日金曜日

ポジッリポ:世界で最もロマンチックな場所?

Posillipo(ポジッリポ)はナポリから車だと15分かからないで行ける場所にある街。歩いても1時間50分だそうで、海岸沿いのVia mare(その名も海通り)をサイクリングすれば最高に気持ち良いところです。

ポジッリポから見たベスビオ火山。左側の木の向こうにはナポリ湾。

私は行ったことがないし、正直行って美術的に価値の高い聖堂など無いから「世界一ロマンチックな場所」と思わないだろうけど、私はこの発言を何度もアメリカ映画やドラマで見ています。「クロッシング・ライン」(ヨーロッパ特別捜査チーム)でも、イタリア人役の捜査官がロマンチックになる💏場所として出て来ました。

確かに綺麗な所ですが、イタリアには海岸沿いの丘にできた街は、チンクエテッラ以外にも幾らでもあります。チンクエテッラが中世の貧しい漁師町なのに対して、こちらは古代遺跡と近代の貴族達の避暑地という感が強いですが。18世紀に盛り上がるグランド・ツアー時代には、イギリスやフランスなどから、貴族のボンが恥かしくない知識を習得するためにイタリアに長期滞在しに来ました。その多くが中南部イタリアに取り憑かれています。小説も書かれ、初期の映画の舞台にもなり、絵画ではポジッリポ派という画家達も生まれました。ナポリで集まって活動した彼らの作品は、ほとんど風景画です。

Antonie Sminck 1826

これは古代ローマ時代に土地の石で作られた洞窟です。自然なものではなく、古代に重要な港だったPausilypon(ポジッリポのギリシャ語名)の、港と他の街をつなぐ通路でした。770メートルに及ぶ洞窟は19世紀に整備され現在は、大ギリシャ遺跡地区に出られます。ちなみにギリシャ語の意味は「苦痛の休戦(停戦)」という意味で、要するに、嫌な事を忘れて疲れを癒してくれる場所、という事だったと思います。

皇帝の館、遺跡地区内

大ギリシャというのはマグナ・グラエキアの訳ですが、今のギリシャではなくイタリア南部のギリシャ植民都市を指します。南部イタリアには、現在のギリシャよりも状態の良いギリシャ文化の遺構があちこちに残っていますが、これもその一つ。館のこちらには円形劇場が見られ、古代ギリシャ人にとっ演劇がいかに大切だったかが分かります。

Palazzo degli Spiriti

写真を比較してください。この二枚の写真は同じ場所で今度は海側から見ています。古代ローマの遺跡ですが、中世を通じて「精霊達の館」と呼ばれて来ました。夕焼け時は特にロマン派の画家達にインスピレーションを与えたようで多くの作品があります。

Villa Volpicelli

ここではお屋敷はほとんど海岸沿いに建てられ、素晴らしい眺望がありますが、この館は特に海の上に立っているように見えるように、設計されています。

Palazzo Donn'Anna

この町で一番有名なお屋敷は、この発音しにくいドンナンナ(本当は詰まるのでもっと難しい)です。名前の意味は「女主人」です。1637年にナポレオン家のお姫様の結婚のため、当代最高のナポリの芸術家Cosimo Fanzagoが着工しましたが、住むはずだった公爵がスペインに帰ったり、女主人自身も死んじゃうし、革命下で破壊されたりして結局完成しませんでした。最初の姿に修復されたかと思うきや、ポジッリポが観光地として脚光を浴びると、道の拡張工事のため部分的に破壊されたり、今は高級ホテルになっています。ホテルにいながらビーチ状態みたいな場所などありますが、お部屋は現代的な意匠です。とにかくビーチっていう欧米人にはいいかもしれないけど、私たちはナポリに連泊するのでここには泊まりません。

Nisida

権力者のお屋敷続きでもう一つ。これは「ブルータスお前もか」のブルータスの屋敷があったニシダ(西田と変換されちゃいます)島です。ここで紀元前44年にカッシウスと、カエサル(シーザー、チェーザレ)殺害の計画が練られた。と書いてあります。その後ブルボン支配下で監獄になりました。ありがちです。でもこの距離ならば「パピヨン」(1973年の映画。スティーブ・マックイーンが無実の罪で投獄され、脱獄しようと頑張る。私にとってこの映画はイタリア語で見た初めての映画で、最後にマックイーンが島から海へ飛び込み、io sono vivoooo!(俺は生きている)と叫ぶシーンが忘れられません。)でなくとも泳いで逃げられそうです。橋は本土と結ぶ橋で、島の向こう側は見事な円形の湾になっていて、古代から素晴らしい避暑地だったと容易に想像できます。

Gaiola

ニシダ島の近くにガイオラもあります。これは島というより岩のような存在ですが、一応建造物もあり二つの島を渡る橋があって、夏のバカンスにはもってこいって感じ。陽気なとか明るいという意味の名を持つ島らしいですね。


この辺には潜ることができます。日本よりずっと水温が高いし、地中海は穏やかなのでダイビングをする人には憧れの場所でしょう。でもちょっと潜るだけで綺麗なので、私も別の場所でやったことがあります。写真はあちこちにある洞窟の一場面。こういうの見てると「世界一ロマンチックな場所」っていう意味もわかる気がします。

Villa Roccaromana

ローマ人の岩館です。このように足元がどこか別の街に繋がった巨大なトンネルになっていたり、一部に海が入り込んでいたりするところなど、まるで古代の文書を読んでいるような気になります。

9月の「ナポリとその周辺」の旅では一日使って行って見たいと思っています。できれば洞窟を通り抜けてクーマエまで歩きたい。クーマエは西洋古典文化の父ウェルギリウスの「アエネーイス」に登場する巫女シュビラが神託を授ける場所!システィーナ礼拝堂のミケランジェロも描いています。

Michelangelo, cappella Sistina Citta di Vaticano

Cumae

古代の神託を体感した後、現代のナポリへ帰ります。
旅人募集:romanici@gmail.com へメールください
#イタリア #旅


2018年5月9日水曜日

2018:イタリア美術と歴史の旅(日程)

#旅 #イタリア

イタリア政府観光局のモリーゼ州のサイトです。
http://visitaly.jp/recommend/borghi-in-molise

今年のイタリア美術の旅(9月)は、2グループに初挑戦!

Bitonto

グループ1:プーリア+モリーゼ
めっちゃマイナーな訪問地がかなり含まれるため、参加者は極少数で締め切りました。

グループ2:ナポリとその周辺
これは大美術館、博物館、カタコンベをメインに、ポジリッポ、アマルフィなど華やかな場所が目白押しの旅です。イタリアへ行ったことの無い人にも大変有意義です。一緒に行く人を大募集してますので、興味のある人はぜひ連絡ください。いずれにしろ小グループですので綿密に説明などできます。 
💟romanici@gmail.com このナポリとその周辺の旅は9月21日〜30日ですが詳細は後日アップします。

Monte Sant'Angelo

グループ1(日程)
11日 成田発ブリンディシ(プーリア州)到着 
    ブリンディシ、アパート泊

12日 午前中ブリンディシ見学 →オストゥーニ(20~50分)
    オストゥーニ、アパート泊
*移動時間が異なるのは列車とバスの違いです。その時の天候や疲れ具合、見学状況でどっちにするか判断します。

13日 →バーリ(列車、1時間)
    バーリ2泊
            バーリ市内はもちろん、ここからビトントなどへ出かけます

15日 →モルフェッタ(列車、28分)
    モルフェッタ1泊

教皇一行を迎えたMolfetta

16日 →モンテ・サンタンジェロ(車、1時間半)
    モンテ・サンタンジェロ、B&B泊

17日 →カンポバッソ(バス、3時間54分)
    カンポバッソ2泊

19日 →イゼルニア(バス、51分)

Campobasso

20日 →ローマ(2時間15分、バスでも列車でも、その時の都合で)
     グループ1の旅はここで終わり。成田へ。
    とっても珍しい旅に同行ありがとう💚

私だけイゼルニアからナポリへ向かい、第二グループを迎えに行きます!
ナポリとその周辺の濃密な旅へ、一緒に行こう!連絡してね