美術家名や都市などブログ内を検索してね

2017年3月31日金曜日

歴史を知るのに地理も必要

http://online.seterra.com/en/vgp/3092

世界中あるけど、これはイタリアの州を覚えるサイト。
同じサイトに街もあるよ。

(サイトから。右にバジリカータをクリックって書いてある)


旅するのにも歴史を考える時も地理は役立つから暇な時ちょこっとやってみて

2017年3月30日木曜日

2016年美術旅行の感想:旅に参加するまで

私はイタリア美術の旅をやっています。で去年参加してくださったMさんの感想をそのまま貼り付け。

📩 「ぜひ、私の旅行に参加してください。」と連絡先のカードを渡してくれたこと、先生は覚えていないかもしれません。放送大学の面接授業で初めてお会いした時、フィレンツェ、サンマルコ寺院のフレスコを見てみたいと感想を述べた私に、現地でしか見られないものがたくさんあると言って渡してくれました。あの時からずっと Saba信者の私は、いつか旅行に参加したいと思い続け、一昨年初めて参加することが出来ました。今回は二回目の参加です。
世界中には、建築やそれと一体となった彫刻、フレスコやモザイク、周りの自然、風景、街並み、教会の雰囲気や光の中でしか感じられないものなど、現地に赴かなければ絶対に出会えないものが数限りなくあり、自分で現地に行って見るだけでも楽しいし感動的です。今回も初めてローマに行き、テレビや写真で見ていたイメージよりもはるかに壮大で懐の深い現地の雰囲気に圧倒されました。ルッカは、中世の雰囲気、街並みやお店のかわいらしさ、滞在したホテルの特別感など、居心地が良くて大好きな街となりました。
しかし、行く前にある程度確認していても、自分で見学するだけでは見逃してしまっているものがたくさんあります。その点、先生の旅では本物を目の前にして話を聞くことができ、本当にありがたいです。更に、あらかじめアレンジしていただいていたSan Cassiano di Controne のボランティアの方や Subiaco の僧侶の方々の説明も聞くことができました。イタリア語を習い始めた私にも少し理解することができ、とても興味深い内容でした。通訳する先生は忙しくて大変ですが、ツアー旅行や個人旅行では絶対に聞くことができないし、先生の人柄と美貌、教養に魅了され、さらに情熱を持って説明して下さっていると思われました。
また、ガイドブックにも載っていない、日本ではほとんど知られていない所で、素晴らしい所がたくさんあるということも実感しました。今回 Pisaの代替案として色々と提案していただいた結果、Barga や San Cassiano di Controne などを訪れたことは大正解だったと思います。ローマやピサなど大観光地は行こうと思えば、自分でもゆっくり巡ることが可能だと思うからです。
個人的には、Jacopo della Quercia の la tomba di Ilaria del Carrettoil を見ることが出来た上に、思いがけず Il San Martino a Cavallo を見ることが出来たのが嬉しかったです。Ponte della Maddalena も写真で見た印象とはまったく違って、実際に橋の上に登るとシャンパーニュからルッカ、シエナ、ローマにつながるに La via Francigena を通る中世の旅人のような気持ちになれました。
今回も色々な初体験がありました。イタリアの温泉、レンタサイクル、ロストバゲージなどなど。先生、そして一緒に旅行して下さった皆様、本当にお世話になりました。ありがとうございました。おいしいレストランや驚きのB&Bなど楽しい思い出がいっぱいです。次回もぜひ参加したいと思いますが日程が月末月初にかかってしまうと厳しいかなぁ・・・。イタリア語が話せて教養深い人や美人はやっぱりお得だなぁと思い知ったので、美人に生まれ変わることは出来ませんが、せめて少しでもイタリア語が話せるように精進します。 📩

(写真は世界で最も美しい石棺として名高い、ヤコポ・デッラ・クエルチャのイラリア・デル・カレット)

私から返信

まず絶対はっきりさせておかねばならないのは、私が美人のように読めるのは、ありがたいにしても正しくない情報です。授業に来てくださった方が私を認識できないので訂正(汗)。
一息ついて。今まで勝手な研究者の端くれのような私でも、大勢の方が授業に出てくださいました。Mさんはその中で圧倒的な成果を収めている(進行形)生徒です。放送大学の面接授業(短期集中講座)に出てくださったときは「文化に関心のある普通の人」だったのではないでしょうか。それが今では、怒涛のごとく喋るベネディクト会のドンや自然に冗談まじりの会話をするおじさんのイタリア語も時々分かるようになるとは大したものです。美術史の知識に関してはもう普通の人ではなくなってしまいました。仕事や家庭があってもできるようになるという見本のよう。

ヤコポ・デッラ・クエルチャは大好きな彫刻家で授業でも取り上げた事がありますが、次はルッカ人マッテーオ・チヴィターリの作品をゆっくり見て欲しいです。真逆なのがサン・カッシアーノで、技の無い自由さというか楽しさを持つロマネスクならではの不思議と謎で一杯の、メディエヴァリスタ内では非常に有名な聖堂に連れて行けたこと、みんなに喜んでもらえたこともとても嬉しく思います。

現代日本で、仕事も家庭もある人が大学院に求めるものは「自己探求」。残された半生でどこまで自分はできるのかを試すこと。伸びていると感じるとき、楽しいだけでなく、自信もつくし、余裕ができ視野が広がる。ただ暇つぶしのような人生を送るのとどれほど大きな違いがあるか、と思う。運動より考えることは歳を重ねてもずっとできるし深められるから。一緒に頑張ろう。

来年の場所も考え始めてるから興味のある人はチェックしてね💕



2017年3月29日水曜日

イタリア専門旅行サイトにロマネスク

http://www.japanitalytravel.com/arte_romanica/top.html
http://www.japanitalytravel.com/


イタリア専門旅行サイトとしては老舗で真面目なサイトです。
ロマネスクの連載を要望されて、書きました。
文字数制限とか校正が入るので百%私ではないですが見てやってください

2017年3月28日火曜日

引っ越したので昔の書き込みも

サイトを引っ越したので昔の書き込みも時々掲載したいと思う。自分の書いたものだけでなく、他の人の書き込みもあるので申し訳ないと思うから。

以下、以前の書き込みだけど、今見ても気持ちは変わらない。

(画像は首都大学東京本校舎正門。奥、左手の建物で授業してる)


首都大学東京オープンユニヴァーシティでは、年を4期に分けて講座が開かれます。毎回講座終了間際にアンケートが取られ、意見や感想が集計されます。事務や講師に対して意見を書く欄もあります。

講座を始めたばかりの頃は、全ての意見に応えようと苦労し結局できなくて不愉快になりましたが、今ではできることだけ選択して答えていこうと割り切っています。

毎回大変励まされることを書いてくださる方が数人います。今回のアンケートから一つ:

これまで本講座の講師を知らずにいました。パワフル、知識豊富。著書とかあるのでしたらぜひ読んでみたいと思いました。

心から感謝すると共に、やっぱり一般書を書かないとダメだと知らされました。ネット時代で、有名人でも無い限り本は売れないので諦めていたのですが努力します。

他にも嬉しい意見を幾つもいただきました。ありがとうございます

2017年3月26日日曜日

ムハ展:ミュシャ展ではなく

http://www.mucha2017.jp/
公式サイト

ミュシャ展:国立新美術館(六本木)

ここは所蔵作品を持たずに運営するため、全て借り出しだから作品数が少なく高い。私のように一年中美術館へ行く人には、あまり行きたくない所。西洋美術館に比べてかなりコスパが低い。でも今回の展覧会は行く価値があるとお勧め💖

借り物だから一切撮影できないのが普通だけど、今回は頑張って一部屋撮影できるのも楽しい。小さな男の子がデジカメ(携帯じゃない)で真剣に撮影してたのが印象的。私は安物携帯なので雰囲気だけですが


写真は「スラブ菩提樹の下で行われるオムラジナ会の誓い」(部分)

ミュシャ。まずその名の表記に絶対異議を唱えたい。ミュシャという表記はフランス語をカタカナにしたもの。モラヴィア(現代はチェコ)生まれの彼の名はムハ(ムッハ)になる。といってもチェコ語は非常に発音が難しくカタカナでは表記できないが仏語だって表記できないわけだし、何より今回の展覧会の目玉であり彼の追求したかった故国スラブという問題を考えれば、間違っても仏語にしてはいけないのだ!!!「こっちの方が馴染んでる」って理由だろうけど、本当気軽すぎて許せない。だってこんなにも祖国や民族の独立、自立、オリジナリティを描きたかった芸術家に極めて失礼だし、分かってないんじゃないかと疑いたくなる。日本人はありがたくも植民地化された経験がない(莫大な税金が使われていても、気付いていない)ので、そういう感覚が鈍いのだ。ミュシャはナチスドイツの拷問後に死んだというのに。

私も子供時代は、有名なパリで活躍していた頃のデザインポスターなどが大好きだった。ポスターや挿絵は生活のため(勿論楽しんで制作しているに違いないが)だったが、余裕のできた彼は祖国へ帰りチェコ民族の壮大な歴史(スラブ系語族が同じ源を有しているという空想の歴史)を描いた。20年を要した大画面の「スラブ叙事詩」、異端運動としては最大級のものとなったフスを聖人として描き、多くのチェコ愛国的なステンドグラスや、無償で行った切手のデザインなど、全てはスラブ(鑑賞者は奴隷だと認識しているだろうか)に対する熱い想いから来ているのに・・・。

彼が可哀想で私も熱くなってしまいました。

圧倒的に最初の部屋が素晴らしいですが、後半は世界有数のムハ・コレクションを持つ堺市の美術館から、初期のポスターなどの版画などがあって、その辺は一般向けに見やすい所。でもやはり全体としては「独立のための戦い」が最も重要な展覧会になっている。

美術的な点に関して。聖歌隊にいた彼は音楽を愛し、「スラブ叙事詩」もスメタナ(19世紀のチェコの音楽家)から発想したともいう。全ての作品が音楽的な雰囲気を持っているのは、構図にリズムを感じるから。彼の構成力(デザイン)が突出しているのを痛感する。

チェブラーシカと違って私は知らなかったモグラの国民的キャラも素朴で可愛い。







2017年3月25日土曜日

チェブラーシカと大エルミタージュ美術館展

大エルミタージュ美術館展
http://hermitage2017.jp/

場所:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)

大っていう形容詞は今回の展覧会についているのか美術館についているのか、日本語だと確定し難い。エルミタージュ美術館が大きいっていうんなら問題ないけど、展覧会がすごいんだっていうならう〜ん、大ってわざわざ付ける必要はないよね。

あとロシアの寂しげなかわいー有名キャラ、チェブラーシカとコラボなんだけど、ただロシアってだけが共通項。チェブラーシカが案内してくれる簡単カタログと有料ガイドは、誰を対象にしているのか本当に疑問に思う。幼稚園児のお散歩ならすごく良い企画だと思うよ。「ねえねえ、美術館ってなに?」っていうくらいなんだから。同じお金使うならもっと大人向けのしっかりした内容のカタログにして欲しい。

赤坂離宮がチープだと書いたばかりだけど、エルミタージュも昔からそういう印象を持ってる。お金かかりまくってるのはわかってるけど、デザインが安っぽい。「本物は裏切らない」っていうコピーなんだけど、エルミタージュの建物自体が、パビリオンぽい。(すいません。勝手に印象を書いています。)またまたイタリアの凄さを痛感する。だってヴァチカンやそれぞれの都市の大聖堂は全く裏切らない。イタリアが本家だからだ。それは展覧会の最初がやはりイタリア絵画で構成されている事でも分かる。

久しぶりにドルチのその名の通り甘ったるい宗教画(嫌いじゃない)やレーニなどスター画家に出会って個人的に嬉しくなる。でも面白いのは一般的には紹介されることが少ないし、名前は全く知られていないに近いカルレヴァリス、マリエスキ、パニーニ、ベッロットなど当時はすごく売れっ子だったVeduta(景観とでもいうのか)画家たちの作品で、質が高い。カナレットくらいしか知られていないのではと思うけど、実際はこういう画家はたくさんいた。ティツィアーノ展にも来ていたベッリーニ工房の系譜だと思う。

次のオランダ絵画は特徴をよく表し、非常に庶民的で美しく無いとこが凄い。皮肉だったり下品だったり面白い。フランドルは大好きだが今回は、ブリューゲルの冬景色くらい。

で「スペイン:神と聖人の世紀」ってとこ。タイトルには難癖つけたくなるが、スペインの神様度は本当に高い。今回は美術史上非常に有名なスルバランの「聖母マリアの少女時代」が来ている。画集を観て育った者には懐かしささえ感じる作品。私はスルバランが大好きだが、この作品は彼の全作品の中ではむしろ変わったもの。

(写真は展覧会の公式ページから)

フランス:古典主義〜ロココ。私は元々この辺が嫌いで、それを再確認。プッサン、ヴーエ、シャルダンら有名どころは一応揃ってるけど、個人的には宮廷美術って全然感動しない。ワトーにはたまに好きな作品がある程度。プッサンなんか評価がなぜあんなに高いのか納得できない。美術史にも政治はある。

で最後が「ドイツ・イギリス:美術大国の狭間で」このタイトルには思いっきり異議を唱えたい。イギリスには近代以前の大芸術は存在しないとほぼ言えるが、ドイツには中世から素晴らしい彫刻家や画家がいる。絶対一緒にできない。今回の展覧会に来ている作品がほとんどないので一緒なのかも。カウフマンは当時の女性、サロン文化を知るために最高の例だけど美術家としては素人だし、英国アカデミーの超重鎮ゲインズバラも、そんなに上手くないな〜と見るたびに思う。政治だ。最後がチケットにもなってるクラナハ。今年は宗教改革500年でルターグッズとか、書籍とか世界ではいっぱい出てる(日本では無関係でも)から、それに合わせてクラナハの作品もたくさん来てるが、当然だけどこの前のクラナハ展の方がずっと質が高く、数も多く面白かった。この「りんごの木下の聖母子」は彼らしいドギツさ、暗さ、エロチシズムなどが全部薄まってて迫力がない。

てことで個人的にはイタリア、オランダあたりが圧倒的に見応えがありました。

でも森アーツセンターは場所が良いし、展望台の空間も好きだし、チェブラーシカは別物で可愛くはあるので行ってみてはいかがでしょうか?






2017年3月24日金曜日

迎賓館赤坂離宮へ行って来た

http://www8.cao.go.jp/geihinkan/akasaka/akasaka.html
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg9742.html?t=50&a=1

中の写真は撮っちゃダメってことで一応お庭で一枚友人たちと撮影。


遠方からの友人のために東京見物に選んだ場所の一つです。まず一番上にサイトを載せたけど、内閣府のページが見にくい。中がどこまで見学できるのかよく分からない。お庭はとにかく見られるというので外観だけでもと行ってみたら、入館できた。予約が必要な場所は一部。外観だけなら正面からすぐ入れるが中を見学したい人は裏へ回りチケットを買う。面白かったのはチケット購入前に、空いたペットボトルなど持ってると係員の目の前で「一口飲んでください」。💣 爆弾だったら困るというわけ。なるほど。

確かに遠くから見ると綺麗。日本がいかに西洋に憧れて必死に真似ようと努力したか伝わってくる。西洋なら花壇にするところに松が植わってて面白い。錆びついた簡易テントを通過し横から入館。

真っ白い壁といいドレープのカーテンといい思いっきりベルサイユの薔薇。ベルサイユを真似て作ったらしいけど、安っぽい。頑張ったイベント会場みたい。バチカンと比べたら可哀想だけど、日本を代表する建物がこれかと思うと残念至極。進むにつれ段々慣れて来て、これはこれで面白いかと思えるようになるとはいえ、剥げた天井、薄いペンキ(油彩)・・・。唯一、鳥の七宝焼きが技の見せ所だと思いました。

一応ボランティアの係りの人がいて説明してくれるので、混んでなければ聞いた方がより楽しい。詳しい芸術の技術的な面、歴史については聞いても分からなかったけど一般的な説明はしてくれるし、修復状況なども一応わかる。アルソックの人に聞かないように。

正面脇の庭になぜかベトナムコーヒーの屋台が出てる。天気も良く、Oは来たけどTもこの正面から入るのかな〜、来なくていいけどーとかちらっと思いながら漫画みたいなお城を眺めつつ、練乳入りのこってりしたコーヒーを飲む。コーヒーもイタリアの方がいいけど、イタリアの素晴らしさを思いがけず再認識した見学でした。私は全く右翼ではないけど、芸術愛好家、日本人として日本独自の建築の方がきっと素晴らしいだろうにと、心から思った次第でした。

それでも、四谷にお越しの際は是非いかがですか?







2017年3月15日水曜日

国立のイタリア料理店でルッカ料理と

イタリア好きでも、フィレンツェ、ヴェネーツィア、ミラーノ、もちろんローマなどすっ飛ばしていきなりトスカーナはルッカを紹介する小さなイベント💖

私の研究の中心都市、トスカーナの至宝ルッカを紹介させてください💝

しかもルッカ料理と共に!ルッカ料理なんて、日本で食べられることあったっけって感じです。これはシェフがこの辺りで修行したこと、今修行中シェフが今月末にルッカへ勉強に行くことから決まりました。なので本当にルッカのお料理。謎でしょ?こうご期待💘

日時:3月18日(土)18:00〜
場所:国立駅南口徒歩5分レストラン・アルトパッショ
参加費:お料理の内容によって変わるのでレストラン頁で確認願います
(お得なディナーコース5000円、もしくは一品料理+1000円とかかな)

以下は全部レストランサイトです
https://www.facebook.com/altopascio.927/?hc_ref=PAGES_TIMELINE&fref=nf
https://twitter.com/altopascio_h
http://altopascio.exblog.jp/25611163/




写真はルッカ最大の光の祭典の夜。14世紀の貴族の衣装に身を包んだ人々が旗芸を眺めている。もうすぐ真夜中。

みんな待ってる。来てね




2017年3月12日日曜日

ヴェネツィア絵画を巡った授業

昨日、首都大学東京オープンユニヴァーシティの今期の授業が終わりました。
受講者は年齢も幅広く、女性に負けず男性も多く、知的な関心の高い人たちで、拍手を持って終えることができ感謝します。

今回のテーマは上野のティツィアーノ展に合わせて「ヴェネチィア美術」を中心に話しました。基本的に一回一人ですが、関連のある大芸術家、特に重要な歴史的背景、美術様式にも触れるようにしながら、ほとんど知られていないにもかかわらず素晴らしい画家を紹介したい(いつもだけど)という願いで選びました。

ヴェネツィア美術の流れとして
ベッリーニ工房に始まりジョルジォーネを通ってティツィアーノに至る。
んだけどそこに
最高の技量を持ちながら貧しさの中で大量の作品を残したロレンツォ・ロット
現代の漫画世代にはむしろ馴染みやすいようなカルロ・クリヴェッリ
ミケランジェロに愛され、逆鱗に触れたが故に(日本では)ほとんど無名のセバスティアーノ・デル・ピオンボを取り上げました。

特別授業として私の研究に即してアミーコ・アスペルティーニ(彼だけはヴェネツィア人ではない)も追加。

みんな知らない画家ばかりだけど、非常に面白かったといってくれました。驚くべき興味深い内容の作品も多いのに、一般には全くといっていいほど紹介されることがないので今後もそういう人を紹介していきたいです。ルノアールとかじゃなく・・・


映像は、宗教改革とミケランジェロ対ラファエッロの大戦争の只中に投げ出されたセバスティアーノの作品。何度見ても美しく平面とは思えない空気と空間表現に感動します。彫刻された絵画と言いたくなる、モニュメンタリティーに溢れた彼の作風。


2017年3月9日木曜日

強くお勧め!「ケプラーとガリレイ」書簡が明かす天才たちの素顔

出てすぐ買ったのに、内容が馴染みの、美術、歴史、イタリア、中世では足りなかったので後回しになってようやく読んだ。

素晴らしいっ!!💘
久しぶりに内容の濃い、しかも大変面白い本に出会えた。

この本はオーストリアで「最良の科学書2010」の「自然科学・技術部門」で一位を獲得しているそうだけれど全く頷ける。ドイツの有名紙に「・・・書き手が、自然科学の知識を十分に備え、生き生きとした文体を持ち・・」とあるのにも心から賛同する。翻訳も非常に小さな誤字脱字が所々あるが、内容は極めて読みやすいもので、科学の素人でも十分に感動できるものだから、これを読んでくれているすべての知的好奇心のある方に読んでほしい💖

ただサブタイトルとなっている「書簡が明かす天才たちの素顔」については期待していた内容と違った。ガリレオはフィレンツェのイタリア人で中世後期に生きた、近代を用意した最も偉大な人物の一人としてあまりにも有名で、日本語で読める本も多く、イタリア語ではガリレオの書簡なども結構出ているので私も何冊か読んだことがあった。がケプラーとの関連については知らなかったので、文字通り二人の天才の往復書簡があったのかと思ったら、真逆でほとんど一通しかない。そういった意味では肩透かしというか微妙に騙された気もするが、本自体の内容は文句なく、それまで外殻しか知らなかったケプラーについて良く分かった。もしかしたら「ティコ・ブラーエとケプラー」をもっと詳細に紹介したかったのかもしれないけど、ガリレオと題名にあったほうが売れる(読まれる)からこうしたのかなーっと思わせる節はある。ちなみに「ガリレオとケプラー」ではなく「ケプラーとガリレイ」とケプラーが先に来て、ガリレオは有名な名の方ではなく姓名の方でガリレイとなっているのも意味があるに違いない。

ただの天才二人の伝記では全くなく、歴史背景における人間の思考の有り様をよく伝えているし、素人にとっては基本的な自然科学や天文学の知識を理解、整理するのにも大変有効。

紋切り型の、古くて無知蒙昧な権威主義の教会に対して戦った英雄ガリレオというような扱いは当然していないし、ニュートンやアインシュタインの先駆けとなったケプラーも非常に中世的な人間であるとしているところなど、実に奥深い人間の複雑さを描いている。

絶対推奨