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2018年12月29日土曜日

2019年:イタリアの旅も行きたいところだらけ

毎年行っている「イタリア、美術と歴史の旅」ですが今年もやろうと思います。何と言っても航空券が安いから、早く決めたい。航空券の値段なんか見ちゃうと、急に現実的になっちゃうよね。

Amalfi

毎年行く度に、今までで一番良かったって印象を持つのはもちろん素晴らしいことだけど、だからって同じ所ばっかり行っていられない。今年訪問して、信じられないくらいお世話になった建築家、美術史家兼小説家の地方の名士フランコ・ヴァレンテと彼の友人たちへは会いに行くことになると思うけど、モリーゼだけってのもあり得ない。

Molise

今年は一応イタリア全20州訪問を達成したんだけど、カラーブリアはチラ見だから2019年は、かの有名なリアーチェの兵士が地元博物館へ帰還したので会いに行ってこようかと思います。紀元前5世紀のギリシャ文化がどれ程のものだったか、驚嘆!としか言いようがない。男性美に溢れたあまりに美しく完璧な作二体。

Bronzi di Riace(内の一体)

でもモリーゼに次ぐ難度の高いカラーブリアの旅について来てくれる人はいるかな〜?今年行けなかったプーリアの最南端(レッチェやオトラント)や有名なマテーラのあるバジリカータと合わせようと思うんだけど・・シチーリアは目の前だから、メッシーナへ渡るって手もあるね❤️

Calabria

その気のある人連絡してね。romanici@gmail.comへ



2018年12月27日木曜日

生徒募集!首都大OUでの間違いカタログ

もう十年以上首都大学東京オープンユニヴァーシティで授業をやらせてもらっています。
これはほとんど参加者のおかげです。ほとんどと言ったのは、事務の方も私の努力もちょこっとは考えたいので👫👬👭

Raffaello Sanzio. Vaticano,Roma

今回は、久しぶりに参加者を私のサイトでも募集します。なぜって、前回に引き続き、カタログに大きな過ちがあり、分けのわからないことになっているし、開講は決まったものの、いつもに比べて参加者が少ないからです。

こんな過ちは前回が初めてで、今回は前回以上にめちゃくちゃなことになっています。というのも、カタログは参加者が授業を選ぶ重要なものですが、そのカタログの私の授業のタイトルが間違っているので、内容と全く整合性がないのです。当然、参加者はそんな授業は選ばないでしょう!事務の人たちは、印刷に回す前に内容を読まないのでしょうか?本当に悲しい。官僚主義の悪いところが炸裂した形です💔

Michelangelo, Pieta, Basilica di SS Pietro e Paolo, Vaticano,Roma

カタログでは「旅の報告と宗教改革」となっていますが、それは前回の南大沢校の題名です。1月から始まる冬季は飯田橋、南大沢校共に「西洋美術の基礎知識」です。

Leonardo da Vinci, Gioconda

飯田橋校は毎週連続。このコースに出るだけでかなり詳しくなれそうです!授業後は飲食店が開く時間だから、テーブルを囲んで質問や意見交換などをしたいです。こういう時間って物凄く大切。私は先生たちとできる限り話せる機会を作りました。藤沢道郎先生とはいつも終電まで議論したのが懐かしいです。

https://www.ou.tmu.ac.jp/web/course/detail/1841I002/

Duomo, Milano

反対に南大沢校は三日で昼食を挟み2コマやるプチ集中コースです。お昼時間にお話しましょう。
https://www.ou.tmu.ac.jp/web/course/detail/1842I001/

Notre-Dame, Paris, France

首都大OUのサイトでは「西洋美術史」となっていますが、本当は美術史というより基礎知識ということで、展覧会や欧米へ旅に行った時にもっと楽しくなるように、言葉の確認から始めましょう、っていうようなものです。西洋美術に興味のある初心者や自分はちょっと知っていると思う人へ最適の講座で、歴史色は薄まり、久々に圧倒的に美術一色です。

Kandinsky,1925

前回が、毎年恒例のイタリア美術旅行の後だったので、その報告を含め非常にマイナーな作品も紹介しましたが、今回は大メジャーな作品を中心に取り扱います。

Picasso, 1937

対象となる作品は、今までと違いイタリアを超えて西洋美術全般に及びます。
この授業は兼ねてから内容を練っていたので、すごく気合が入って資料作りしているから、私自身も大変楽しみ。ぜひ多くの人に来て欲しいので、西洋美術好きの人がいたらぜひ誘ってください💕 新しい仲間ができることを心から願っています。

2018年12月25日火曜日

Buon Natale!赤ちゃんイエス

恐るな
私は、民全体に与えられる大きな喜びを告げる
今日ダビデの町で、あなた方のために救い主がお生まれになった
この方こそ主メシアである
あなた方は、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう
これがあなた方へのしるしである


いと高き所には栄光
神にあれ
地には平和
御心にかなう人にあれ


世界で最も有名なプレセピオです。ルカの福音書第二章にある通り、天使の大群が空を舞っています。その下には生まれたばかりの赤ちゃんイエスが、もう手をあげて祝福しています。下の写真の真ん中です。壮大なジオラマは驚くほど精密にできていて、民衆の驚きや遠方からやってくる行列などが、これでもかという程細かく再現されています。その中心で、小さいながらも威厳のある美しい赤ちゃんイエスに全ての注目とエネルギーが集約された作品となっています。ナポリの丘の上の大修道院博物館聖マルティーノにて。

平和あれ

2018年12月24日月曜日

Buon Natale! クリスマスとプレセピオ

Buon Natale : ブォン・ナターレ!

Presepio, Museo, Certosa di San Martino, Napoli

今年はナポリで山のように御聖誕風景を拝んで来ました。
プレセ(ゼ)ピオはイエス・キリスト(救世主)の誕生を祝う場面を3次元的に表現したもので、アッシージの聖フランチェスコが本物の赤ちゃんを使って表したのが最初と言われています。カトリックの国々ではツリーよりよほどプレセピオの方が伝統的で、様々な素材やサイズで作られます。あちこちの博物館、美術館にプレセピオのコーナーが設けてあります。特にナポリは圧倒的なジオラマが有名です。

この中世末期らしい木彫の場面には、最も大切なものが欠けています。そう、生まれたばかりのイエスGesu' Bambinoがありません。それは明日、最後に置かれるものだからです。明日をお楽しみに!



2018年11月20日火曜日

イタリア旅報告:イタリア式化粧法と

私は生まれつき肌が弱くてアレルギー体質なので、ダメな化粧品もあります。ほんと面倒な体質で嫌んなっちゃうけど仕方ないね。天然なら良いってわけでもなくて、馬油とかサメとか糠とか全然ダメでした😞

その上、シャンプーとか化粧品には良い香りがして欲しいのですが勿論どんな匂いでもいいわけはなく、日本で好きなものが見つけられません。大変残念です。日本製は自然に配慮したものは大抵無香料で味気ないし、匂いがするものは安っぽい嫌な匂いがする。何故だろう?

そんなこともあってイタリアに行く度に化粧品も買ってきます。何故かリーズナブルなシャンプーとかも結構好きな匂いがするので幸せです。

日本ではこのところドラッグストアってのがアメリカ流なのか、お菓子やら衣料品まがいのものまで売ってたりしてよく分からないけど、イタリアの薬屋さんはもっと薬屋さんらしく白衣の薬剤師が必ず居て(最近日本も一応居るね)医療系(自然派)化粧品の説明もしてくれます。

今回のお買い物の一部とお土産サンプル

エルボリステリーア(薬草屋さん)を基にした自然派のメーカーが好きなので所謂化粧品のお店でなく薬屋さんに入ります。薬草系化粧品を扱ってるお店とそうで無い普通の薬屋さんとあります。今回はFraisMondeの基礎化粧品をいくつか購入。

気になった人はどんな商品か分かるから商品のサイトを貼り付けました。イタリア語だけど写真が綺麗。

でも旅の最後の方で何故か黛が見つからなくなったので普通の化粧品屋さんへ。

全部違ったメーカー

金の口紅(ちょー自然な色でつけてる意味あるのって感じ)はミラノのブランド だからお手頃値段。メタリックレッドはイタリアでは行けるけど、日本だと特別な時しか使えそうに無い「(イタリア)らしさ」につい購入。ブルガリの香水は、あまりにお店が素敵だったのでその記念に。日本では考えられない優雅なお店でした。木立に囲まれた庭があってその奥に小ぶりの別荘みたいな石作の一軒家があるんだけど、そこまで怪しい照明で照らされた長方形のショウケースが並んでいて、その中に香水が展示してある。ものすごく入りにくいお店だけど、入ると良〜い香りで一杯で、店主のおじさんもいかにもって感じでした。イゼルニアの話。勿論資生堂も売ってるよ。

化粧品屋さんでは日本のように実演してくれます。なんでもそうだけど日本よりずっと気軽なのでいつもやってもらいます。今回は眉毛を描いてもらったけど、日本よりずっと描いてますって感じ。全てにおいてソフトでヤワ好みの日本に対して、強烈な嗜好を持っているので、合わない人は合わないと思うけど私は好きです。以前日本で、500円払って眉を描いてもらうっていうのをよく見かけました。えーこんなんでお金払ってやってもらう意味あるの?みたいな、よく言えば自然な感じ。イタリアはやったね!って感じでビシッと描いてくれる。

https://www.youtube.com/watch?v=x6uyOdT1mjI

アメリカのお化粧とイタリアのお化粧法を比較したイタリア人のユーチューブ。実際はもっと強烈にお化粧してる人も多いけど、違いがわかって面白い。顔全部やってもらうと、とんでも無いことになって楽しいよ。イタリア旅行の際はぜひお試しください💋





2018年11月13日火曜日

イタリア旅報告:バールの違い:人生と・・

イタリアにいる時はめっちゃ元気なんだけど帰国すると、大抵体調が崩れます。向こうの疲れが出たって言い方もあるかもしれないけど、それより帰国は大抵10月に入ってからで喘息の季節なんだよね。本気の喘息じゃないけれど、父がそうだし体質的にアレルギーがあって風邪じゃなくて、咳喘息の軽いみたいなのが毎年のように襲ってくる💀

それと写真整理と授業の準備で更新してませんでした。言い訳。

バールはイタリアの命。ちょっと前にイタリアについにスタバが上陸したのが話題になりました。スタバはもともとイタリアのバールを元に考案されたから、本拠地ヘ殴り込みって感じです。ほとんどのもの事はイタリアの場合、北部から南部へ広がるので、当分南部へは来ないと思うから一安心。スタバなんか欲しくない。マックがあるのだってすごく嫌だ。アメリカに犯されるのは日本だけで十分ってのが私の勝手な気持ち。

ところでバールってBarって書きます。知らない人はバーだからお酒飲むとこかと思うでしょ。でも喫茶店っていうか、立ち飲み珈琲屋っていうかそういうもので、お酒を置いてるとこの方が少ないです。基本メニューは以下。

caffe(カッフェ)日本で言うところのエスプレッソ。
cappuccino(カップッチーノ)泡だてたコーヒー牛乳みたいので朝飲みます。
caffelatte(カッフェラッテ)カフェラテじゃない。泡立ってないコーヒー牛乳。
全てホットが基本。冷たいのは観光者向け、新メニュー。

あとはジュース類で
succo di arancia(スッコ・ディ・アランチャ)ビン詰のオレンジジュース。いろんな果物あり。
spremuta di pompelmo(スプレムータ・ディ・ポンペルモ)生搾りジュース。柑橘類。
aranciata(アランチャータ)ファンタオレンジ。発泡系、ほとんど果物無関係。

お茶はない。

Bitonto

私はほぼカッフェを注文するんだけど、南部だとカッフェに必ず水が付いてくる。水が有料なのが当たり前なので北部では無い習慣です。で、水をいつ飲むのか議論があって、先か後か?どっちだと思う?先に飲むのはカッフェを愛する者。味がしっかり分かるように、水で口を綺麗にするんだって。後に飲む人は、口をさっぱりさせたい人。カッフェを愛するならこんな事はしない。・・そうです。貴方ならどうする?

Giovinazzo

1856年からやってる老舗のバール。イタリアができるより前だ!イタリアにはこう言う歴史を感じさせるバールがあって、それも楽しみの一つ。ここにはすごいお酒のコレクションがあって、日本のお酒も幾つもあった。渋谷でDJやったって言うへ〜んな英語を話すイタリア兄ちゃんがお客で来ていて、相手をしてあげました。

これを読んでくれた人からいただいたメールで気付いた事があるので、付け加えます。

Isernia

イタリアではカッフェをブラックで飲む人は多く無い、と言うか滅多に無い。以前も書いたので、またかと思う人もいるかもしれないけど、あまりに象徴的な話なのでまた書くね。それは、私がペルージャに留学してた大昔の話、昼間バールでカッフェを注文したら(座らないでカウンターが基本)隣のおじさんが「(お砂糖は)幾つ?」と聞いてくれました。カッフェに付いてくる、パック入りの砂糖じゃなくて、バールのカウンターに置いてある砂糖壺に入ったお砂糖を、スプーンで掬ってくれた。私が「ブラック(イタリアでは【苦い】と表現する)が好きなんです。」と言うと、おじさんは即座に「人生は甘く(苦いの反対)あっていいはずだ」と答えたのでした。何十年も前の話だけど今も鮮明に覚えています。
La vita dovrebbe essere dolce

なんと素晴らしいのでしょうか!ふっつーの中年のおじさんでした。恩師藤沢道郎先生もよく言ってました。「イタリアではその辺の普通の兄ちゃんが皆詩人だ」って。全くです。自分の言いたいことも表現できない日本人と大違い。

Brindisi

いただいたメールでは、カッフェはブラックで飲むものと思われているようでしたから、違いますって書きたかったのでした。私は疲れている時しか甘くしないけどさ。


2018年10月29日月曜日

イタリア旅報告:3回目のMさんの感想

#イタリア旅

今まで出会った多くの生徒さん達の中でも、最も熱心な生徒さんMさんの感想文。

Pietracupa

今回の旅は二グループあったのですが、最初の旅は余りにも通な場所で、しかもお世話してくれるイタリア人と過ごす時間が長いと思われたため、前半はイタリア語のある程度分かる、イタリアも何回も行っている人限定にしました。Mさんは前半の少人数組。


Brindisi


(以下Mさんの感想そのまま)
先生の旅行に参加したのは今回で3回目です。毎回普通のツアーでは絶対に行かない場所、自分だけでは訪れるのが難しい場所に連れて行ってくださいます。
憧れだったプーリア・ロマネスクの聖堂をいくつも訪ね、大巡礼地のモンテ・サンタンジェロに泊まり、フランコ教授の案内でモリーゼ州を回りました。空気も食べ物も人も本当にすばらしく、ますますイタリアの虜になってしまいました。
今回は特に人びとの温かさに感動してばかりでした。私が忘れてしまっためがねを、ビトントのB&Bオーナーは次の宿までわざわざ届けてくれました。フランコ教授は忙しい中、私たちを案内するため二日間も日程をさいてくださり、行く先々でたくさんの方々に歓待を受けました。もちろんSaba先生が日本にいる時からコーディネートしてくれたおかげでもあります。不安な時や疲れている時には旅の仲間が優しい声をかけてくれました。本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
初めて旅に参加した時には四福音書記者のシンボルさえ知らずにいました。聖書の物語や聖人の話など分かるようになると聖堂巡りも説明を聞くのももっと楽しくなります。モリーゼ州は日本のガイドブックにはほとんど出てこない州ですがロマネスクの聖堂もローマの遺跡も立派なフレスコの残ったお城もあり、イタリアにはこうした場所が無数にあるのだと痛感しました。今までイタリア北部は豊かで、南部は貧しいというイメージでした。しかし、本当の豊かさとは何だろう?と考えさせられました。大きな企業もあり、北部の方が収入が多いということだと思われますが、私には南部の方が豊かだと感じられました。人びとは信仰心が厚く親切だし、食べ物も豊かで物価も驚くほど安いのです。
今回の旅で私が受けた数々の親切や優しさを、自分自身も少しでも実行できる人間になりたいと思いました


Bari

なんかすごい。美術の追求から人間の追求へ。

Pozzilli

南部の方が食物が豊かなのは確かな気がする。空気や気候は絶対に最高。人は最終的には個人の問題だけど、観光客で迷惑してる街の人々と違って、本当にどこも市長を挙げての歓待ぶりで(それは偏にフランコ・ヴァレンテ氏のお陰です。去年はイタリア国政に打って出るような地域の名士なのだ。)、とにかく私たちは大変幸福な時間を過ごしました。



豊かさとは何かというのは、西洋文明の危機が叫ばれるようになって以降永遠のテーマだけれど、特にトランプや石油産出国が代表するように金銭まみれの人々ばかり露出する、現在の反知性的な風潮の中で真剣に向き合いたい問題。Mさんにそう言われてみれば、前半の旅は特に、今ではまともに口にすることさえできないような純粋な人々に囲まれた旅だった。来年もみんな待ってるよ💕

2018年10月28日日曜日

イタリア旅報告:初めて参加のYさんの感想

Yさんが書いてくれました。いつものようにそのまま貼り付けます。

ナポリ10日間の旅
美術館、博物館、教会をシャワーを浴びるようにイタリアの美術に触れた旅でした。
東京の美術館で絵画鑑賞するのとは全く別世界でした。
一歩建物に入ると天井から柱、壁、床に至るまで丸ごと美術品でした。
広大な敷地に建つカポディモンテ美術館では、途中バールで休憩し再入場をして、暗くなるまで鑑賞を続けました。美術館がこんなに遅くまで開いているというのも驚きました。
移動は基本的に地下鉄とバスだったのですが、帰国の前日ストライキに遇いました。それでも目的地までのバスは動いていたり、目の前で客をおろしたタクシーに乗れたり、こんな偶然あるんだ!と思うほどスムーズに移動できました。
特に印象に残ったのは、サンセヴェーロ礼拝堂です。
「ヴェールに包まれたキリスト」は、本当の人くらいの大きさで、床の上に展示されており、ぐるっと回って見られます。同じ像でも見る方向で変わって見えました。彫刻というより本物のキリストがいるような感覚で、彫刻であることを忘れてしまいそうな像でした。
すべてが初めての体験で、非日常をワクワクドキドキしながらの10日間、まさに冒険の旅でした。
同時に、見れば見るほど自分の不勉強さを思い知り、これは再訪しなければと強く思う旅でもありました。



Cappella San Severo, Napoli

真面目に鑑賞したり、説明を聞いたりしていれば誰でも、いかに自分が知らないかと思うことでしょう。そして知れば知るほど面白くなって、自分の知識の広がりとともに、世界観まで変わってくるかも知れません。

本当のキリストはあのような西洋人の顔をしていません。もっとシリア系の顔立ちだったはずです。でもあれはまさに西洋人が思い描く、ヨーロッパ化されたキリスト教の理想像の一つだと思います。技術はあまりにも素晴らしく、石であるのが不思議ですが、作者のサンマルティーノはあれに心血を注ぎすぎたため、他の作品があまりありません。私としては、このことは残念なことですが、ある意味芸術家と作品の関係という点で得意な作品でもあり、興味を引きます。

Yさんはとても周囲に気を使う人で、そのためなかなか書きたいことが書けなかったようです。ネット上には醜い個人攻撃や誹謗中傷もありますが、そんな内容でさえなければ、自由に思ったことを表現することが本当の感想だし、芸術の本質に通じることではないでしょうか。自由な感想もお待ちしています。彼女は今回申し込んだのが非常に遅く、飛行機代がみんなよりかなりかかりました。それにも関わらず、行きたいという強い意欲があったから一緒に旅ができました。必ずまた行けるでしょう。

*ちなみにこの聖堂は一切写真禁止なので、ナポリのイベント時の写真を使わせていただきました。他には私のサイトには、美術書や聖堂サイトの写真を転用させていただいてます。



2018年10月26日金曜日

イタリア旅報告:驚愕のお料理と異常な日本賛美

イタリアは世界の三大料理国の一つ。と言ったって三つってどこ?イタリア、フランス、中国?今では日本も間違いなく入るだろうし、他にも美味しいものがあるとこはきっとたくさんあるけどま、良いか。

Antipasto misto di verdura, Molfetta

フランス料理はイタリアのメディチ家から大きく発展したというのは通説だけど、でも考えてみると根本が大きく違う。私に言わせれば、凝りに凝ったフランス料理と素材の新鮮さを生かした単純さが輝くイタリア料理。私は完全に料理の素人だから、勝手に言ってるんだけど、もともと私の食生活は和風ではなくてフランス料理もイタリア料理も好きなので、日本人にしては食べてる方。

Insalata mista, Mozzarella, Pozzilli

ところで、このところテレビで一年中、外国人に日本を褒めさせる番組をやってるでしょ。大嫌いです。そんなに褒めてもらいたいのか?自信が持てなくて悲しい感じがする。日本は十分特異な文化を持ってるんだからそれで良いじゃないか、って思う。

Pasta alla pescatore,Bitonto

イタリア人だって、「美味しいか?」とか「イタリアは好きか?」って聞くよ。でもしつこくしちゃいけないよね。しつこいってのはいつだってかっこ悪い。なんでこんな話してるかっていうと、連続で、フランスと違って日本の野菜は美味しい、ってテーマの番組を見たから(私はちら見だけど、母がしっかり観ててさ)。そんなのおかしくない?フランスは自給自足できない日本と違う農業大国。イタリア人が日本の野菜が美味しいって言ってるのもやってて、それじゃまるでフランスやイタリアの野菜はまずいみたいに聞こえる。私が感じるのは、美味しい野菜が違うってこと。トマトは百倍イタリアが美味しいけどかぼちゃは百倍日本が美味しい、みたいなね。


話戻って、今回の旅ではかつてない程美味しいものがたくさん食べられました。なんたってプーリアはイタリアの食材供給量ナンバーワンなんだから当たり前の気もするけど、パスタの種類もたくさんあるし、予想を覆すパスタも食べた。っていうかとても食べきれなかったんだけどね。

Spaghetti all'assassina, Molfetta

また行きたいレストランも幾つか見つけた中で、一番強烈だったのはモルフェッタの、その名も「女暗殺者のスパゲッティ」。名前に惹かれて質問したら、最大の地元料理で売りだけど二人前以上じゃないと作れないというので二人で頼みました。それが上の写真のパスタ。ゲーーーキーーーーーーーーーーーカーーーラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!
見てもわかるけど、匂いとか、なんていうかもう空気が辛い!味はすごく美味しいんだけど、平らげたら胃に穴あくんじゃないかって勢いでした。一般にイタリア人は日本人ほど辛いものを食べない。カラーブリアが辛い料理で有名なんだけど、プーリアの海沿いの、最高に爽快な青空の元、この異様な辛さは何なんだって!びっくりでした。辛いもの好きの人に食べてほしいなー。レストランはモルフェッタのLa Rosa Marinaです。ロケーションも最高だよ🚢


2018年10月25日木曜日

イタリア旅報告:結婚式の季節

私たちが発ったのは9月11日でした。私は一ヶ月弱滞在して、その間に二つのグループが10日ほどの旅をしました。(プーリア&モリーゼ組とナポリとその周辺組)実はほぼ同時に別の生徒さんたちもイタリアへ来ていました。彼らはウンブリアを中心に回っていたので会うことはありません。

Molfetta

その間に3組とも結婚式に遭遇しました。私など何度見たか数えきれないほどってくらいです。9月と6月は一年のうちで最も良い季節。だから結婚式も集中する。日本だったら雨や台風の季節だけど、地中海はとにかく最高です。

Procida

私の友人達も含め、イタリアで一般的なのは、教会で式をあげること(もちろんキリスト教徒に限る。日本の無節操ビジネス教会とは全く違う。逆に宗教的に思想のある非キリスト教徒たちは役所で調印。)、良いレストランで食事する。名所で撮影しまくる。ですが、やはり北部と南部ではあらゆる点で南部の方が面白い。派手、騒ぐ、町中暴走する。とにかく冠婚葬祭にかける費用の感覚が違う。プローチダは決して大きくない島だけれど、新郎新婦を先頭に数台の車を連ねて町中走り回り、プカプカ楽器を鳴らしながら結婚のお知らせをしていました。

Roma

本当にあちこちで見かけたんだけど、心底良いなと思ったのは、お任せでないこと。業者が司会して、わざとらしい手紙の読み合いとか当然ない。友人や親戚一同がとにかく盛り上げる。街を歩いているといきなり楽隊がやってきたり、ハリウッドみたいなドレスを着た女性達が歩いて来たりしたら、近くで結婚式が行われている証拠。式っていうよりパーティか。式は教会だからね。

Bitonto

ビトントで私たちが昼食をとっていたら、その建物の裏で大騒ぎが聞こえてきました。ちょっとした空間に大勢が集まって、歌ったり踊ったりして大音量が町中に響いてる。年配の女性出席者は大音量が苦手なのか、みんなから離れて見ていたけれど彼女も袖がレースになったお洒落スーツを着ていたので親族でしょう。

ナポリの夜、宿から歌声と歓声が聞こえてきて何だろうとベランダへ出でみたら、向かいのベランダのお兄さんが、あれはナポリ人の歌手で明日結婚するからその前夜祭をやってるんだと教えてくれました。駅からさほど離れていない通りなんだけど、大勢が集まって何曲も大合唱。なんか演歌っぽい感じの曲でナポリっぽかった。部屋着じゃなかったら出て行きたくてたまらなかった。だってすぐ下だったんだもん。夜中の12時にパッタリ止んだけど、日本では近所の人が煩い事言ったりして、ビトントの大騒ぎもプローチダの暴走もナポリの野外コンサートもできないんだろうなと思うと寂しかった。何でも業者任せじゃない、自然な社会環境がイタリアの方がある気がしたのは、私だけではありませんでした。ある生徒さんなんか感動して泣いちゃったくらい。

9月は結婚式がたくさん見られて幸せな気分になれるけど、逆に聖堂が見たい人にはネックになるのでそこだけ注意。見られなくても広い心で祝いましょう💕


2018年10月23日火曜日

イタリア旅報告:ナポリのルッカに一人で感動

私はずっとトスカーナ州の街ルッカの司教座聖堂に祀られる磔刑像に取り憑かれて来ました。ですが今回の旅は、プーリア、モリーゼ、ナポリという南部だけの旅でトスカーナにはかすりもしませんから、ルッカと磔刑像ヴォルト・サントについての発見があるとは思っていませんでした。プーリア州のビトントの司教座聖堂のヴォルト・サントはとっくに知っていたので再会を楽しみにしていました。

Porta di Volto Santo di Lucca, Bitonto

それともう一つ、聖堂としての機能はすでに失われていますが、ナポリの旧市街ど真ん中にルッカの十字架と言う名の聖堂があるので、調べたいと思っていました。

Chiesa della Croce di Lucca,Napoli

勝手に一人で盛り上がって感動しました。まごうことなきヴォルト・サントです。修道女たちに囲まれた磔刑像は、とても柔和な印象でオリジナルとは全く似ていませんが、しっかり修復されているのが私には大きな喜びでした。

左手にちらっと見えているのが元聖堂

ナポリのカオスの中、このフレスコに気付く人はまず居ないでしょう。この辺は広場と道路が整理されていない不思議な空間になっていて、ルッカの十字架聖堂は落ち着かない空間の真ん中に建っています。


引いて撮影するのが難しい状況で逆光でもあり良い写真ではないですが、小さいながらも厳粛なルネサンス建築で、派手なバロック建築の嵐のナポリにあってトスカーナの雰囲気を伝えています。聖堂は完全に修復中で閉まっています。次回は事前に約束を取り付けて入れてもらおうと思います。

このフレスコの状態の良さに気分が上がっているところへ、さらに思っても見ない発見がありました。ナポリにはスフォリアテッラとババという二つの伝統菓子があって、現在もうんざりするほど至る所で売っています。


これはナポリの心臓、上品な人は通るのが大変な地区にあるスフォリアテッラ屋さんで撮影しました。スフォリアテッラとは、紙が幾重にも重なったっていうような意味で、フランス語のミルフィーユもほぼ同じ意味。要するに薄ーくした生地を何枚も重ねて上手に焼くのがお菓子職人さんたちの腕の見せ所だったのかもね。ユダヤ起源だとかアマルフィの修道院だとか色々言われますがとにかく有名です。正直言って何箇所かで食べたけど、ずっしりしたパイ生地が私の好みではありません。でも本場の専門店で一回買ってみようというので行ってみたら、なんとその中にルッカのスフォリアテッラがありました!びっくりです。だってミラノのとかパレルモのとかローマのとか、あちこちのものがあるなら分かるけど、あったのはルッカのだけ!あとは皆ナポリのスフォリアテッラでした。ナポリのものより中身が凝っていて、歴史的にナポリに根付いたルッカ人の痕跡を実感。

こんなことで喜んでるのは私一人ですが、雇われ貧乏講師なんて好きでなければやってられない証拠です💘




2018年10月21日日曜日

イタリア旅報告:初心者の感想

M子さんが感想を送ってくださいました。


Gusu Nuovo, Napoli


お土産は聖キアーラ修道院のあのチョコレートが好評、食べれるの?飾ってから食べるなど喜んでもらえました。ビデは以前使い方を知らなかったので顔や体を拭きました。教えていただいてありがとうございます。ホテルはどこも良かったです。皆で食事を作って食べるのもゆっくりできて楽しいですね。
Santa Chiara, Napoli



私は外国で教会に行ったことがありません。今回初めて教会に足を踏み入れるやいなや展開した別世界に息を飲みました。広く高く豪華で荘厳な世界はまるで天国で圧倒されました。そしてこの様な教会を作るにはどれ程の資金、時間、労力、技術等がかかつたのだろうと思いました。毎日が驚きと感動の旅でした。遺跡、美術館等は言うまでもなく、カタコンベ見学の帰り道に路地を歩きナポリの人たちの生活を垣間見たこともおもしろかったです。治安を気にしていましたが、住んでいる人たちは気さくで親切でナポリが好きになりました。


Paestum


M子さんは私の首都大学東京オープンユニヴァーシティの講座「西洋美術史(主にイタリア)」にずっと参加してくださっています。私は授業中に、参加者へ疑問か感想を述べるように要求します。関心の持ち方は人それぞれですが、彼女も個性的な感想を持つ一人で、それだけに本当に関心を持ってくれているのが伝わります。写真は嫌だというので、2枚目の後ろ姿も彼女ではありませんが、それぞれの場所で驚嘆しているのがよく分かりました。初心者の感想は常に大切です。そういう目で見た時期が私にもかつてあったと思うけれど、ほとんど忘れてしまっているから。ちなみにナポリ組は、ホテルはサレルノでしか使っていません。あとはB&Bだったのでみんなで食事を作るようなことになったのです。と言っても、いわゆる料理はしてないけどね。モリーゼ組ではあまり作らなかったので、ナポリ組の人たちは良き主婦が揃っていたのでしょうか?今回は、私の”コテコテ”ナポリと周辺の旅に参加してくださって本当にありがとう。感謝します💖






2018年10月14日日曜日

イタリア旅報告:運転手との会話からみえてくる頭の中

帰国した日、地元の駅から家までタクシーに乗りました。荷物だけならバスを待つけど雨だったから。

私は、色んな人に話しかけられやすいタイプです。道を聞かれるのは得意技です。電車で子供に話しかけられたり、中高年の女性に洋服のことを聞かれたり。タクシーの運転手さんもよく色々話して来ます。やたら説教くさい人には辟易します。今回は、私がいない間に起こった強風で、自分のバイクが傷つき大損害だという話でした。

イタリアでも運転手さんたちとは必ず会話します。勝手に向こうが喋りまくるおじさんの場合もあるし、私の質問に律儀に答える若者もいるし、時にはこっちのことを聞いて来る女性もいます。

女性が一人で観光地でもない史跡などへ行くのが珍しいのか(確かに日本でもそれほどないか)、色々質問して来るのですが「何歳か?」と「結婚してるのか?」はほぼ必ず聞かれます。その時々で雰囲気に合わせて適当に答えるのですが、その場合はほとんど誘って来ます。ナポリのオヤジは「昔日本女性と付き合ったことがあって楽しかった。今は奥さんと小さな娘が家で待っている。俺は家では妻と娘のもの、外では全ての女性のもの!」とイタリア男の名を世界に轟かす発言をしまくりました。フランスでバスに乗った時もそうでしたし、今回は列車の車掌さんが、他のお客がたくさんいるにも関わらず、私の向かいに座って「お茶を奢りたい」「連絡し合おう」と粘って来ました。うーん、それよりみんなの切符チェックしようよ〜。

とにかく口説くのが生活の一部となっている人の割合が、日本人に比較し圧倒的に高いのは間違いありません。日本でタクシーに乗って「結婚してますか?」「お茶しませんか?」とか言って来たら、どうでしょう?そんな人滅多に居ないから事件に発展するかもしれないって、感じさえします。(実は日本でも、結婚してるのか?って聞かれたことあるけど)

そう言う頭の人たちと違って、自分の町やイタリアの社会問題もしょっちゅう話題にします。ナポリの運転手マウロは、まさに困った時の神の贈り物のような人でしたが、ナポリの市長が変わったことで街の治安や、改造計画が大幅に改善されたとか、不法外国人問題とか、デモとストについて、政治家と税金の話とか熱烈に話しました。そう言う人は面白いのでこちらも色々質問しますから、街の人の意見や時事問題に触れることができ、私には貴重な時間です。

頑張りまくってくれたモンテサンタンジェロのタクシー運転手

フォッジャからモンテサンタンジェロ、モンテサンタンジェロからカンポバッソと、長い距離を頼んだアントニオは叔父さんのタクシー会社で働く真面目な若者。最初に告げられた値段を大幅に値切ったにも関わらず、カンポバッソではイタリア人ならではの超絶技巧で、車幅ギリギリもいいところの中世の路地をグルグル周りみんなを驚かせました。結局車が入れない道だったのだけど、家に入るまで責任を果たそうと奮闘してくれました。私の質問、現在イタリアで流行ってる話題、音楽、物とか、モンテサンタンジェロの地元の人の考え(観光客でごった返すプーリア1の聖地なので)とか、サッカーの話から政治までといった具合ですが、どれも一生懸命考えて説明してくれました。彼はとても信心深く、祠(聖母子像とか大天使聖ミカエルとかピオ神父とか)の前を通過するたびに、十字を切り小さくキスするのでした。

イゼルニアのバスは彼が守っている

実際は写真よりだいぶカッコ良かったのは、イゼルニアのバスを一人で死守する(かっこ良かったと言いながら、名前を思い出せない・・)運転手。前半の旅の最後の街がイゼルニアだったので一人で町中巡っている時、歩き疲れてバスに乗りたいと思って待っていると、来るバスの運転手は3回中3回常に彼でした。バス停はあちこちにあるし、路線も一つではないはずなのに謎でした。街を循環するバスなので、駅周辺では大勢人が乗りますが外れると人はいなくなり、最後には私一人になりました。イタリアのバスではしょっちゅう見かける光景ですが、乗客が運転手の背中に張り付いて話しかけ続けるので、運転台の後ろには「運転手に話しかけないでください」と警告が書いてあります。日本では見たことがない。私の時も、彼は何人もの人を相手に話を聞いていて、乗客が私と二人になった時に、待ってましたとばかりに中高年女性が、最近変わったらしい市の条例の話を声高に始めて彼に意見を求め続けるのでした。下らない話しも個人的な内容も社会問題も一気に引き受ける、大変な役目です。

いつも書いているけれど、日本人ももっと自分の住む街の問題を真剣に考えるべきだと思います。意見を持たないように暮らしてきた日本人は、世界では無視されてしまうし、実際世界情勢の中で日本はそういう状態にあるのではないでしょうか。



2018年10月11日木曜日

イタリア旅報告:ホテルってなんだろう??

ホテルがあまり好きでないのは、何よりも面白くないから。私は生まれながらの旅人で冒険心にあふれているから(逆に言えば、計画性が無く不用心)分かり切ったことが好きじゃないの。三ツ星や四ツ星のホテルってどこでも似たり寄ったりでしょ?殺風景な部屋には最低限の家具。しかもスイートでもない限り一部屋。値段は家具の良し悪しに反映されるくらい。B&Bは当たり外れはあるけど、その場その場で違いが大きく、大抵二部屋以上ある。

Palace Hotel San Michele, Monte Sant'Angelo

でもね、長旅だからホテルも必ずいれるようにしてる。B&Bみたいにいちいち連絡取り合わなくて済むからその点ストレス無し。どういうことかっていうと、B&Bは大家と連絡取り合わないと、部屋に入れない。何時にどこで待ち合わせるか何度もやり取りする。「着いたら教えて」みたいな人は助かるけれど、普通は一日前に場所を連絡する。今回もナポリのGuestArtのオーナーは三日以上前にいつ着くか教えろと煩くて「多分〜時くらい」というのを3回変更したら、散々嫌味タラタラ。そんなに言うなら予約する前に分かるように書いておけ、と言いたくなる。旅の途中なんだからどうなるか分からないでしょ!予定の決まり切ったツアーじゃないんだから!そこが良いとこなのに。その点ホテルは一年中何時に着いても問題無し。タオルも毎日変えてくれる(普通はそう)。

Palace Hotel San Michele, Monte Sant'Angelo

最初のホテルは、今回最高級のゴージャスなホテル。プールにサウナにスパに絶景のバルコニー付き。プールは前日で閉まっちゃったのが残念無念。モンテサンタンジェロは、前半の旅中圧倒的な観光地。最も聖なる土地が最も俗だって事が皮肉だけど、聖ピウス(パードレ・ピオ)と大天使ミカエルのお土産屋さんでごった返す。聖地の外れに建つ、ヨーロッパのお金持ちが温泉休暇に来るような設定。アガサ・クリスティに出てきそうな中産階級の白人目当てでできたのかもしれない。私たちが着いた頃は、プールが閉まったことでも明確なように夏のバカンスが去り一段落した時で、宿泊客も満員ではなく丁度良かった。写真はスパ。ジャグジー、水とお湯の歩き湯、変わりシャワーボックスとサウナは個室が数個、地下へは怪しい紫の光を通過して行くと共同サウナ室。勿論バーもある。外へ出るとプールへ続くひっろーーーいお庭があってお散歩できる。1時間くらいゆっくりしたけど、ほんと気持ちよくて疲れも取れて優雅な気持ちになれる。水着さえ持って行けばあとは貸してくれる。

Palace Hotel San Michele, Monte Sant'Angelo

バルコニーからは満天の星がみえた。今一だったのはレストラン。地下のレストランは、他所が美味しいものだらけだったので、冴えなかったけど宿泊客で一杯でした。ま、ホテル嫌いの私もこの位特徴あれば嬉しい。

Palace Hotel San Michele, Monte Sant'Angelo

次はナポリから30分のサレルノのホテル。私が新しい雑誌もらって威張ってるのが、そのホテルのサロン。雑誌ったって下らない芸能雑誌じゃないよ。社会、歴史を話題にした日本にはないタイプの雑誌。イタリアにはよくあるしセンスも良い。ここがとても良かったのはとにかく駅前で移動に便利。サレルノの駅は旧市街から離れていない上、店舗が並ぶ中央通りも駅から出てるので、本当に便利。典型的な三ッ星ホテルで、面白いことは何もないけど、足りないものも何も無い。若いスタッフはみんな感じが良くて、朝食も明るい部屋で三ッ星にしては豪華だった。

Hotel Plaza, Salerno
                         
みんなと泊まったのはこの二つだけ。私の旅は少人数だから大型ホテルの同じ部屋を何室も取らないで済む。学生時代みたいに、みんなであーだこーだ言いながら泊まるのが楽しいの。

Hotel Amadeus, Caserta

実はYさんだけみんなの後に発った。もし彼女がもう一日でも長くいられたら、イスキアとかナポリの近くの島のホテルで寛ぎたかったけど時間が無かったので、彼女が発つのと同時に私もナポリを離れて、ベネヴェントと悩んだけどカゼルタへ行った。

                             
Hotel Amadeus, Caserta

ナポリから30〜40分のカゼルタにはヴェルサイユを凌ぐ気合いで建設された王宮があるけれど、その他に中世の古カゼルタや、足を伸ばせばベネヴェントがあるので連泊してあちこち見る予定だったので、移動に便利に駅近の評価の高いホテルを選んだ。もっと経済的なホテルが駅付近にあったけど、ナポリの駅周辺の汚さがあまりに強烈で(何度か行ってるけど、だいぶ改善してるんじゃないかと期待してたらまだまだだった。やはりナポリは異次元!)格安駅近は避けました。結果からするとその方が良かったかもしれない。

Hotel Amadeus, Caserta

ナポリから30分離れただけなのにカゼルタへ着いたら、何もかもが別世界。整理整頓されていて落ち着いていた。別に東京で暮らしていたら普通だけど、ナポリから来たから街の清潔さに感動しちゃった。三ッ星ホテルにしては、個人経営っぽい雰囲気満載のアマデウスは18世紀の建物を改造してるので中庭形式で、朝食は、今は駐車場になってる中庭の別棟へ食べに行く。隣にはオーナーのドラムセットもあって暇なときは訓練してる。夜、微妙にドラムの音が響いてた。イタリア人にとって、絵は家と切っても切れない重要なもの。あらゆる空間に様々な画家の作品が掛かっていて、私にはそれを見るのも楽しみ。

Hotel La Stazione, Napoli

いよいよ最後のホテルは当然ナポリ。何があるか分からないから、絶対出発の前の日には空港がある街へ泊まる。本当はカゼルタへもう一泊してナポリは一泊のつもりだったんだけど、今まで一度も降らなかった雨が、みんなが帰国した途端せきを切ったように降ってあまり動けなかったから、ナポリへ戻って来た。ベネヴェントは次回に。ここでは空港行きのバス停に近い安いホテルを選んだ。ホテル名もそのまま「駅」。ところがホテルって何???カオス状態の人々を掻き分けながらホテルの住所へ行くと、怪しげな建造物の奥へ。一応中庭形式でエレベーターがあったからホッとする。だってB&Bでなくホテルにした理由は、最終日で荷物が重くなってるから階段を持って上がらずに済むように、ってもの。それなのに一階(日本の二階)へは使えないという、鍵付きのエレベーター!え〜っ!て落胆を身体表現したら、南部にはどこにでもいる、1年中同じ場所でぶらぶらしてるおじさんがホテルの人を呼んで来てくれて、彼が運んでくれた。マウリツィオという名前。朝食スペースもないし、ホテルの概念を撃ち壊すところだったけど、マウリツィオのおかげで非常に快適に過ごせた。WiFiの状態を最高に設定し直してくれてスムーズにチェックインも済んだし、窓からは興味深いナポリ生活も見られた。

La Stazione, Napoli

部屋の窓からは新たになったナポリ駅が見える。夜、窓の外から怒号が聞こえたので見ると、アフリカ系の若者たちが大勢走って騒然としている。その内一部始終を見ていた向かいのビルのイタリア人たちの拍手が起こり、黒人青年に老人が肩を叩かれながら鞄を渡されていた。引ったくりにあった白人の夫婦を助けたらしい。私も一緒に拍手喝采した。この道は駅前の結構大きな道にも関わらず裏通りっぽくて、ほとんど白人の姿は無い。一階には売れるのか売れないのかしれないアフリカ系の人たちのお店が並んでいる。国際的大都市ナポリの一面を描いた映画のワンシーンのような場所だった。