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2019年1月20日日曜日

2019年イタリア美術の旅:ピサ

Pisa! ピーサ!

「奇跡の広場」という名からも分かるように中世ヨーロッパで最初に最も輝いた街ピサ。

Torre pendente, Pisa 

ツアーでは広場だけ、しかも斜塔のアホらしい写真を撮って通り過ぎるのではあまりに勿体無い。本当は一週間ピサだけに留まって周辺地域と博物館と全ての聖堂を見尽くしたい。そんなピサをちょこっと紹介。

Piazza del miracolo

奇跡の広場は、キリスト教徒の一生を象徴的に表しています。生まれて「洗礼堂」、様々な宗教儀式、毎日曜日のミサは「司教座聖堂」、都市国家ピサの誇りである「塔」で全員集合。最後に「聖なる野」要するにお墓に埋葬され、故人の煉獄時期を短縮するためにも、みんなで祈りを捧げます。

Campo Santo, Pisa

ピサはこの奇跡の広場だけでも十分に1日かかるだけ見がいがあります。このところ長く大修復に入っていたピサですが、ほぼ町中の修復が終わりそうです。最も重要な大聖堂クーポラ(ドーム)も完成しました。傾きが世界中で話題になる斜塔も元気です。


イタリアを旅する時、最も気をつけなくてはならないのは修復中かどうか。折角長年夢見て、やっと辿り着いて見たら、修復のビニールに覆われていたなんて、悲しくてやってられないでしょ。


特に「カンポサント=聖野」の巨大なフレスコの修復が終了したことは、中世美術愛好家にとっては見逃せない。私はルッカからすぐということもあり、美術史的にも非常に深い関係にあるピサには何度も行った事がありますが、このカンポサントのフレスコがもっとはっきり見えたらどんなに良いだろうに、といつも思っていました。


またいつも思うのですが、風景が及ぼす影響は非常に大きく、街が丘の上にあるとか、川が流れているとかいったことは、街をより魅力的にする決定的な要素です。そういった意味で海沿いのプーリアの街は実際の建築物以上に素晴らしい印象を与えます。ピサやルッカはトスカーナの内陸でしかも平地なので、南イタリアの海岸沿いの街のような白黒はっきりしたような派手さはありません。トスカーナの多くの街は、穏やかで落ち着いた雰囲気を醸し出していて、フィレンツェのように観光の嵐に晒されなければ、本当にのどかな印象です。

Santa maria della Spina,Pisa

ピサ中央駅から有名な「奇跡の広場」へ行くには川を渡ります。バスに乗ってしまうと、この珠玉の小さな聖堂「聖荊(イバラ)」聖堂は通り過ぎてしまいます。本当に小さな聖堂ですが、これはイエスの茨の冠の荊の聖遺物容器なのだから小さくて当然なのでした。本当に小さいくせに完全な美しいゴシック様式の装飾は流石です。

San Sepolcro, Pisa

この印象的な形状の「聖墳墓」聖堂は、エルサレムのイエスのお墓を意味する聖堂で、十字軍時代の騎士団によるものですが、悲しいかな街のど真ん中にあり、地面が今では低くなってしまっていることなど相まって、酷い荒れようでした。それこそ何十年も前、私は留学時代からここが気になっていて何度も訪ねたのですが、泣きたくなるような状態で放置されていたのに綺麗になりました!私には人ごととは思えないほど嬉しい出来事です。文化財、街や公共の場所を汚す人々は、心底教養のない人々です。教養というのはテストで良い点が取れるとかそういうことでは無く、公共の精神を持てる事だと思うのです。

Museo nazionale di San Matteo, Pisa

ピサは中世の早い段階から繁栄し、ガリレオはじめ大勢の知識人たちが滞在した大学の街としても知られています。そのため様々な博物館がありますが、個人的には圧倒的に聖マタイ修道院を改造した国立博物館が好きです。というか愛しています💕私が最も愛する木彫像や磔刑像が沢山あり、ドナテッロの素晴らしい作品もここにあります。

Donatello

中世貨幣の収集は世界一を誇るのですが、長い間見ることができないでいます。私はかつて見せてもらったのですが、今はどうなのでしょう?9月までには時間があるので交渉するつもりです。その時にルッカがいかに先進地域だったかを痛感したのを、今でもはっきりと覚えています。中世初期に残っている貨幣って、世界中にほとんどないんです。

一般旅行客には完全に無視されている場所も大好きです。何しろルッカのヴォルト・サントがピサにもいるのですが、それがなかなかいい感じの巨大木彫で誰もいない聖堂で一人、写真を撮りまくりました。中世史家の間ではなかなかの人気なんですよ。

Piazza Cavalieri, Pisa

ピサではほとんどの人が奇跡の広場に集中しているので、他のところへ行くと一気に地元民のようになります。大好きな「騎士広場」は、今は中学校などになっていますが、元は美術史の父ジョルジョ・ヴァザーリがデザインした館と聖堂が美しい素敵な場所。初めて訪れた時には「これが中学なんてなんて素晴らしいんだろう。私の学校とどれだけ差があるだろう」と、つくづくため息をつきました。先に書いたヴォルト・サントのある聖堂も近くなのでよくこの辺で休みます。バールもいきなり観光客が減って、時間が止まったような感じです。

San Paolo a Ripa,Pisa

驚くほどルッカの聖堂とそっくりなのがリーパの聖パオロ聖堂です。この他の中世のロマネスク聖堂たちは、ひたすら司教座聖堂にお客を取られて置き去りにされてきましたが、少しづつ修復しているようです。見学できることを微かに期待しています。

Mura di Pisa

ヨーロッパの都市にはよく植物園もあるのですが、特に科学で名を成したピサ大学ですから広場(公園)があちこちにあり、空間に余裕があります。中世には全て囲まれていたピサの市壁の上を歩く人々です。ルッカと比較すると笑っちゃうくらい狭いですが、逆に壁って感じはしますよね。ぜひお散歩したいです。

航空券も買って本気でやる気になったので、行く人は早く連絡ちょうだい。そうしないと航空券が心配だから。旅は航空券は自分で買ってもらう。その他は向こうに一週間全部で10日で15万円くらいです。夕食、入館料などは別。

連絡:romanici@gmail.com


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