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2018年8月15日水曜日

2018年9月イタリアの旅:ナポリ:新ジェス・ヌオーヴォ、聖ドメニコ大聖堂、超絶技巧の聖セヴェーロ

9月23日(二日目)

ナポリの二日目、日曜日の午前中。

Giuseppe SanMartino

今日は昨日買った複合券の残りを使います。でも朝早く高いところへ登るのと、夕焼けを見るのとどっちがいいでしょうか。昨日は朝一でカポディモンテへ登ったので、今日は最後に、もう一つの丘に登りましょうか。と言っても、ナポリの場合は、プーリアとモリーゼで本当に歩いて登ったのとは違って、交通機関を使います。

宿から近い聖キアーラから始めます。

Santa Chiara

日本のガイドブックにも載っている名所です。焼き物の化粧板で覆われた修道院中庭が非常に珍しく目を引きますが、宿に近いので余った時間で行きましょう。

Piazza Gesu` Nuovo

サンタ・キアーラを通過して出た広場は新イエス広場です。ナポリ・バロックの代表的なモニュメント(グーリアと言う)の向こう、頭がちょん切られたようなファサード(建築物の正面)を持つジェズ・ヌオーヴォ聖堂が最初の訪問地。側で見るとダイヤ型の非常に印象的なファサードです。ここにはエクス・ヴォート(信徒が祈願成就を感謝して捧げる品)のための礼拝堂があり、権力と支配を印象付ける壮麗なバロックから、時には怪しげな信仰に繋がりそうな民衆の信仰の姿まで、同時に体験できます。

Gian Domenico Vinaccia 

絢爛豪華なバロック礼拝堂の一つに、1677年に製作された70体の木彫聖遺物容器があります。名の知れた大芸術家ではないですが、そういう人がこれだけ素晴らしい作品を作れるのがイタリアの奥の深さ。今までゆっくり見る時間がなかったので、足を止めて観たいです。ここは大聖堂で聖具室も金ピカです✨

San Domenico Maggiore

イタリア最大の哲学者とも言われるベネデット・クローチェの名前がついた通り周辺には、重要な聖堂が密集しています。またグーリアが目に入ります。ナポリらしい雑然とした広場で、美術や歴史に関心がなければ、なんだあの汚い建物は?と思うようなのが聖ドメニコ大聖堂の後陣(聖堂の後ろ部分)です。でも入れば例によて素晴らしく、フランチェスコ・ソリメーナの「異端に対する凱旋」の天井画も見られます。

Francesco Solimena

ルネサンスでもそうですが、特にバロック以降の大流行した様式は、作品を見慣れない人には、どれも似たようであまり印象に残りません。ロココも新古典主義も、もっと言えば現代の抽象画などにも言えることです。でもそういった典型的な様式の中にあっても、よく見ると非常に美しかったり、感動的だったり、躍動感があったり、熱かったり、寂しげだったり、とにかく作品の仕上がりと与える印象は、結構それぞれ違うもので、そこが一流と二流の違いというか、製作者の違いです。同じ人物の作品でも良し悪しがあるのも当然で、ナポリではソリメーナの一番良い作品が見られます。

Giuseppe Di Stefano

ちょっと一息。ナポリのことを書きながら、このアルバムを聴いています。これぞ真のナポレターノ!芸術は不思議なもので、色や形、音だけで人の心を動かすことができる。ジュゼッペ・デ・ステーファノはその圧倒的な歌唱力で聴く者をノックアウトします。そうそう、日本ではカンツォーネと言います、ナポレターノではなく。私はロック、ファンクやシンガーソングライター系の音楽ファンなんだけど、昔からこのアルバムが大好きで、ナポリに行ったら是非、青の洞窟じゃなくって本場の舞台で、ナポレターノの歌声にぶっ飛ばされたいっ!っと思っていました。それなのに悲しきかな、ナポリでも最近はそういう舞台が無くなってきたと言うのです。(今、歌も悲しくなってる!ステーファノ大泣き!!)いろんな人に聞いているのだけど、この望みは叶うでしょうか。行く人たち、みんなで祈ろう。

San Severo

いよいよ次は驚異の聖セヴェーロ礼拝堂です。表紙のイエスの彫刻が最も名高いのですが、実は他の作品も全て恐るべし!です。ナポリに行って、ここへ来ないなんてあり得ませんっ!最近は目立つようになりましたが、以前は見つけるのが難しく、外からは全く隠された建物の中に、信じ難い常軌を逸した世界が展開します。

Cappella San Severo

最近は演劇や歌などイベントもするようになりました。全く当然です。全てが舞台空間そのものだから。舞台空間、それはバロックの極端な演劇性、劇的瞬間を捉えるバロック芸術に最も適合したものなのです。そう言えばナポレターナもバロック的。バロックは北部より圧倒的に南部イタリアで花開きました。いつも思うのですが、カラヴァッジョの暗く陰湿なバロック絵画と、なんと遠く隔たった感覚でしょう。それでもそこには通底したものがあり、この有無をも言わせぬ超絶技巧の聖セヴェーロ礼拝堂にも、奥底に存在するどす黒い不安のようなものが感じられます。そしてそれはこの地下で形となって現れるでしょう。

San Severo

わーきもちわるいよーっ!怖すぎるー!説明が知りたければ過去ブログを見てね。


この聖堂はあまりにも彫刻が際立っているので、絵なんて無いような気がしますが、実はちゃーんと天井画だって頑張っています。かわいそうなので全部よく見てあげましょう。地下のあまりに恐ろしい実験室の印象を振り払うように、もう一度一階の、技の限りを尽くした作品の共演空間を見渡したら、そろそろお昼の時間です。

私の人生で最高のピッツァはナポリでした。たった二種類しかないしシンプルこの上ないのに、この美味しさは何なんだっ!!!いつも混んでるし、全くゆっくりでき無いし、その上改装後食べてないので、味が変わってないか心配ですが・・・。行ってみる?


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