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2018年8月10日金曜日

2018年9月イタリアの旅:大ナポリ:カポディモンテ

9月22日(実質初日)

Artemisia Gentileschi

大ナポリの初日はいきなり首切りから始まります!

Napoli

大美術館へ行きましょう。ナポリの街を見下ろす、まさに王宮然とした二つの博物館が今日のメインです。

Castel S.Elmo / Museo S.Martino

イタリアはあちこちで、美術館+博物館+聖堂などの割引入館券を販売しています。ナポリでは、カポディモンテ+聖エルモ城+聖マルティーノ修道院+ピニャテッリ館が二千円足らずで訪問できる夢のようなチケットがあります💕日本だったら上の一つの博物館だけでそれだけかかるし、言うまでもなく内容は比較になりません。美術愛好家には嬉しくて涙が出そうな内容です😭

http://www.museocapodimonte.beniculturali.it/immagini/
カポディモンテのサイトです。作品画面頁にリンクさせています。

Capodimonte

カポディモンテとは「山の頂上」と言う意味で、ナポリにある二つの最頂部の一つを占めています。広大な庭園の中に、大倉庫として建てられたと言っても過言ではない大宮殿のようなお屋敷があります。ファルネーゼ家の人々は、善人だったかはともかく、有能で文芸、特に美術の鑑識眼においては突出していました。信じ難い量の、同時に質も高い作品を、しかも幅広く収集したのです。このファルネーゼ・コレクションが元になり、最後には文人ではなく軍人一家のサヴォイア家に渡り武器コレクションが増え、現在は現代美術部門も有する大美術館です。

陶器でできた部屋

膨大な収集品を収めるための館とはいえ、王宮としか言いようのない部屋も堪能できます。写真は有名な陶器の部屋。中国風(シノワズリ)デザイン。

Parmigianino

有名な作品もたくさんあります。数年前に上野にやって来たパルミジャニーノの肖像画は、日本人にも人気のある作品。 ラッファエッロの肖像画は彼の全作品中でも最高傑作。マサッチョやマゾリーノ、ボッティチェッリのようなフィレンツェ・ルネサンスを築いた人たちの作品、パウルス3世が教皇になったことで、セバスティアーノ・デル・ピオンボのように教皇庁で活躍した同時代の美術家の作品が中心です。ヴェネツィア派の作品も多いのですが、私はマゾリーノも好きだし、セバスティアーノとロットの大ファンなのでカポディモンテを愛しています💕

Masolino(部分)

Lorenzo Lotto

取り分け最初期の女性画家で、最大と思われるアルテミシア・ジェンティレスキの首切り場面(トップの写真は部分)は、あまりにも有名です。この他カラヴァッジョにしては大きさ、質、共に最高の「キリストの鞭打ち」や中世の作品では、ナポリ司教座聖堂にあったシモーネ・マルティーニの、当時の技術の粋を極めた祭壇画、ブリューゲルが代表するようにイタリア人以外の作品もあります。

Brughel

スペイン最大の画家の一人リベラの作品も何点もあります。リベラはスペインらしく、生々しいリアルを突きつけてくる画家で、激しい暴力的な画風も得意です。初めてここを訪れた時に最も印象的だったのは、いわゆる美術書には出てこないような作品、特に残虐性や暴力がテーマとなった作品です。超一流の画家は少なくても、明らかにそう言うテーマで収集したものと思われます。静物画(欧米では「Natura Morta=死んだ自然」と言う)も、狩られた鳥獣など恐ろしげです。

D.W.A. Bouguereau

確かにダンテは「神曲」地獄編にとんでもないことをたくさん書いていますが、全裸の男たちが争い、首に噛み付くのをダンテとウェルギリウスが興味深げに見ています。

Schedoni

この恐ろしげな一角で、私に深い印象を与えたのがスケドーニでした。カポディモンテへ来るまで知らない画家でした。バルトロメーオ・スケドーニは1578年モデナに生まれ1615年パルマで死んでいます。たった37才でした。絵を見れば分かる通り、超一流の腕前です。12才で画家として父の手伝いをしながら署名もしていたようで、16才でローマ(美術家としての頂点である教皇庁での仕事を求めて)へ発っています。フェデリコ・ズッカリ、カッラッチ、カラヴァッジョ等の影響が見られますが、代表作であるカポディモンテの「慈愛」などは、彼独自の、醜い対象を描きながらも美しい作品に仕上げる表現力が見事です。むしろ先に挙げた三者より、デッサンには卓越したものがあります。

Salone Pompeiano

王宮広間には様々なテーマがあり、ポンペイ風が上。数々の陶器や調度品、彫刻なども当然あり、まだあるのか、まだあるのかと最後に現代作品にたどり着いた頃には、クタクタになっています。

Roggia

ここが全ての入り口。この階段上がるのか!(もっと下にある)とうんざりしそうになるのを、気合いを入れて見学開始。それにしても昔の人は、貴族達も体力があったのでしょう。廊下を歩くだけで体力つくこと間違いなしです。

ありがたいことに美術館内にバチカンより百倍素敵なカフェがあります。

Capodimonte Caffe`

初日の午前中一杯カポディモンテで過ごします。お昼は簡単に。



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