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2018年1月2日火曜日

サルデーニャ:ログドーロのロマネスク聖堂たち

Logudoro=ログドーロという発音もやはり特徴があり、サルデーニャならではの響きを感じさせます。

サルデーニャ島は、格安航空が一般化する以前は、イタリアの富裕層の避暑地として有名でした。エメラルド海岸以外にも、海の底のそこまで見える、本当に空を映した、これぞ青色の海が売り物だからです。

でも私にとっては、他では見られないロマネスク聖堂が目的です。ヌラーゲで示した通り島の歴史は非常に古いものですが、古代ローマに征服された後、島が活気を取り戻すには時間がかかりました。中世真っ只中の千年を超した頃、ヨーロッパ中の覚醒と共に島も繁栄します。地中海のハブ地として最適だったからです。地中海の覇権を争っていたピサとジェノヴァ人たちはこぞってやって来ました。商人、兵士、聖職者らが自らの属する文化を持ち込んだので、この頃サルデーニャに建てられたロマネスク聖堂を、何処の、何様式と断定するのは至難の技です。

兵士や商人の痕跡はほとんど分からなくなりましたが、聖職者たちの文化は聖堂という形で、今に伝わっています。それどころか、彼らが建立した建造物では現在もミサが挙げられ、結婚や洗礼式が祝われています。私は、西洋文化を知れば知るほど、宗教の持つ力を痛感させられます。戦争や商業活動も常に存在しますが、それは動物的な欲望と繋がったもの。それに対して宗教は、人間ならではの精神、思考、情緒といったものと繋がっています。宗教によって戦争になるという人がいますが、もっと深く考えれば、必ずその背景には政治や金銭的な問題が潜んでいるのです。上昇志向の異常に強い人で、何でもいいからのし上がりたい人が、宗教を利用することは頻繁にありますから、一見判断しにくく、騙されてしまうのです。

一千年ころのキリスト教聖堂、特に現在そこに集う人は、そういった思惑とは全く無関係です。そこでは癒しの力が働きます。サルデーニャのロマネスク聖堂は、どれも巨大で壮麗なローマや、バロックの聖堂とはかけ離れたものです。建っている場所自体が、非常に行きにくく、一般の旅行者にはまず回れない場所にあります。だからこそ、旅行者でごった返すフィレンツェやヴェネツィアの聖堂には無い、本来の姿を感じることができるのです。


Santissima Trinita` di Saccargia


私はこの聖堂へたどり着くのに、滅多に来ないバスに乗り、駅のない所で無理やり降ろしてもらい、帰りはそこで出会ったドイツ人夫婦の車で帰りました。私たちの他には誰もいませんでしたから、もし誰もいなかったらどうすんだという話ですが、私はそういう旅を散々やっているので平気です。特に最近は携帯があるので、以前のように気合はいらなくなりました。ところで今調べていたら、日本のツアーを見つけました。サルデーニャ周遊7日間で60万近くしました。もちろん私の旅とはホテルの格が違うのでしょうし、全てバスで移動します。でもそれ程なかなかいける場所ではないのが分かってもらえたでしょうか。私の旅は半額で、まともな解説付き(イヤホンは考え中)ですから、どんなに頑張っているか、分かって欲しいっ!つい、感情を吐露してしまいました😅

この夢のような白黒の縞模様の聖堂は、ピサの郊外にある聖堂と非常に似た工芸的な技術(上図)が使われています。フレスコの残る内部や回廊跡も感動的で、私の行った時には教会守りが飼っているのか、迷い猫が堂内でくつろいでいて絵のようでした。


Sant'Antico di Bisarcio

この聖堂の良さが分かる!という人はかなりの通です。10世紀半ばに造られた、ピサとフランスの色濃いロマネスク様式です。私は告白すると、サルデーニャの街はあちこち行っていますが、これらロマネスク聖堂は先に書いたサッカルジャしか訪れていません。皆離れた野原のど真ん中にポツンと建っているので、一人で行くには貧乏な私には辛いからです(涙)。確かにサルデーニャのロマネスク聖堂を尋ねる旅は、お金も時間も必要です。


La Nostra Signora di Tergu

モンテカッシーノからやって来た修道士たちの聖堂跡に建立されたこの聖堂は、独創的なファサードを持っています。石の色が他より濃い茶色で、それを生かした白の配色と繊細なバラ窓の透かし彫りや、捻れた細い柱など、非常にデザイン性が高く、美術好きには喫水の聖堂です。うわぁ〜見たいよーっ!!サッカルジャと異なり、ミサに使われる生きた聖堂でもありそこも魅力です。


La Nostra Signora di Castro

やー、またまたぽつねんとしています。この聖堂も地域の儀式で活躍する生きた聖堂です。豪華極まりないフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレが死んでから何年も経つというのに、こんなに小さな可愛い聖堂がいまだに現役です。ロンバルディア地方の特色が見られる12世紀の聖堂です。この写真ではわかりませんが、聖堂は湖沿いの丘の上にあり、映画のような美しさです。映画も色々ありますが、南欧の田舎のゆったりした風景が出てくる理想郷みたいな映画です。


San Pietro

島の、主に北部にはまだまだたくさんのロマネスク聖堂が散らばっていて、それが皆独自のスタイルを持ち、似ていない事が面白く、歴史を表しています。

もし「イタリア:歴史と美術の旅2018」でサルデーニャに行くことになれば、島だけに絞ります。今回は小さな聖堂の話を書きましたが、勿論街には大きな聖堂もあるし、博物館や、島独自の文化が至る所で見られるから。

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