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2018年1月26日金曜日

プーリア:街、聖堂、雰囲気などなど一気に紹介

プーリアは愛するイタリア中でも特に好きな場所です。フィレンツェ、ミラーノ、ローマのような大美術館や博物館は当然無いし、聖堂自体も、豊富と言うわけではありません。時代も割に限られています。街ではひったくりに常に気をつけねばならず、おちおち歩いてはいけないと、地元の人に言われもします。


Santa Croce, Lecce

ある時、空席の目立つバスに乗っていた時のこと、わざわざ私の隣に座る女性がいました。ま、そういうことはよくあることで、暇な中高年の女性が話しかけてくるので、相手を務めます。周囲の人は「あー、あの外人つかまっちゃったよ。」と思ってたりするのが手に取るように分かったりもします。それでも別に、大抵は問題なく、楽しく時間は過ぎます。でもビトントでは違いました。ギリシャ系の特別自治区に暮らすと言う、30才前後の彼女は、私の指輪や持ち物を「ベッラ!ベッラ!」と言って、欲しがるのです。貸してくれと言って聞かず、指にはめたら最後くれと言って、返そうとしません。取り返すのが大変でした。真昼間の平和なバスのリラックス・タイムが、戦いタイムになりました。世界には絶大な貧富の差があり、それはとても悲しいことです。古代から現在までその格差は絶えたことがありません。だから、いっそあげてしまおうかとも思ったのですが、そこであげると次から次と現れて対処できなくなるのを知っていたので、何も渡しませんでした。彼女は散々悪態をつきました。「ケチ!ケチ!こっちは貧乏なのよ」こちらも嫌な気持ちになります。プーリアはイタリアの中でも季節労働者や移住者の多い所で、こんな目にあうことさえあります。

それでもプーリアが好きなのはなぜでしょう。


San Valentino, Bitonto


Volto Santo, Bitonto

私の授業に出てくださっている方は、もうご存知のヴォルト・サントです。ビトントの司教座聖堂のルネッタにも、明確に刻まれています。巡礼のフランス街道は、かつてはカンタベリーからローマを繋ぐ巡礼路と言われてきました。私がビトントでこれを発見したのも、全くまぐれではありませんが、期待していたわけではありませんでした。なので、南イタリアにもフランス街道が伸びていることの証として、非常に嬉しく、自分の考えが間違っていなかったことを確認しました。一般向けではない話ですが、私は時空を超えた文化の継承と変遷に関心があります。ビトントの大聖堂は私にとって特別な聖堂です。


Bitonto


San Nicola, Bari

プーリアで最も重要なのは最初から書いているようにバーリです。バーリの守護聖人聖ニコラはサンタクロースの源です。世界でサンタクロースほど有名な人がいるでしょうか。子供から老人まで、多分世界中で知られています。その彼の御遺体はバーリの司教座聖堂にあります。現在も遺体を収めたクリプタには連日、信心深い人々が世界中から訪れて祈っています。フィレンツェやヴェネツィアの聖堂にはありえない、信仰の空気が満ちています。


もともと聖ニコラは東方の聖人で、ギリシャ正教でも絶大な人気を誇ります。現在バーリには正教の聖堂もありますが、これはカトリックの聖堂での式典です。日本だったらお雛様のようとでも言うのか、歴史の中で出来上がった聖職者の衣装と聖堂が、響き合っている様が美しい。


バーリの情報番組です。モリーゼで聖人が船に乗るのを紹介しましたが、船乗りの守護聖人は聖ニコラですし、こっちが本家本元です。聖ニコラの祭典は非常に賑やかに祝われ、日本では最近よく見られるライトアップなど、昔からイタリアでは行ってきました。もちろん昔は蝋燭で(ルッカではいまだに蝋燭でやりますが)、バーリは派手にイルミネーションを飾ります。


Teatro, Bari

バーリはプーリア州で最大の街で、司教座聖堂のある旧市街(やはり海に突き出した、迷路のような小道が印象的)とは別に、内側には近現代の建物が並ぶ新市街があります。高級品店が並ぶ道幅の広い通りや、若者向けの空間や飲食店街と、東京にいるのとさほど変わらない一面を持った場所もありますが、やはり扱っている商品のデザインなど全然違います。さらに、新旧市街の中間的な空間もあり、そこはノルマン王朝の要塞がある場所で、現在は博物館になっています。


Bari


Ruvo di Puglia

バーリ、ビトント、モルフェッタ、トラーニなどと違い、このルーヴォ・ディ・プーリアは私が行けていないところです。このいかにもノルマン・プーリア系のロマネスク聖堂は、今度プーリアへ行ったら絶対訪ねたい場所です。


Ostuni

オストゥーニは白い街と言われていて、プーリアの多くの建造物が黄味がかった白なのに対して、本当に白いのが特徴です。なだらかな丘の上に司教座聖堂があり、それを取り囲むように真っ白な壁で街が形成され、多少マテーラを思い出します。

旅:プーリアへの旅は、ナポリとは違った意味で気を引き締める必要があります。ナポリのように初めっから迫力があると、こちらも構えますが、プーリアは実に穏やかで自然は美しく、空気も素晴らしいのでの〜んびりしてしまって、気が緩んでしまうんです。バーリやレッチェは違うと思いますが、他のところは基本的に田舎です。時間を気にしない、おおらかな旅にしたいので、できれば端から端を旅するより、北からだんだん南下して、どこか素晴らしい眺望のある宿に連泊できたらいいかと思います。


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