Tuffatore
Tempio di Cerere
パエストゥムなんてイタリア語をやっていればすぐ分かるように、イタ語でなくラテン語です。でも元々はギリシャ語でポセイドニアといいました。ギリシャ神話の海神で、よくハリウッドでも活躍します。結構ゼウスに対抗して悪者だったりします。ここはギリシャ神殿が素晴らしい状態で残されていることで、世界有数の場所。ギリシャでは破壊が進んでしまったのでこっちの方が素晴らしい、という人もいるくらいです。何しろ神殿は一つでなく、三つも残っていて、これはシチリアのアグリジェントより凄いことです。シチリアにはセジェスタとかセリヌンテなど、完璧な形で残っている神殿がありますが、ここは街が想像できるくらい固まってあるだけでなく、最初に書いた、非常に貴重な絵画を所有する博物館があることで、頭一つ抜けています。
最初の「飛込み人」が最も人気があり、珍しい内容ですが、他にも楽しいのがまだまだあります。
男同士で、食事用ベッドに横になりいちゃついています。ラケットみたいに見えるのは楽器で、空になった杯を持ち上げ「お〜い、お酒ーっ」て人もいます。みんな上半身裸で月桂冠をかぶっています。月桂冠って、子供の頃から興味を持っていました。私はアクセサリー好きなので、装飾品も観るのは好きです。でも裸で月桂冠っていうのは、オリンピックを想像しないでしょうか。ところが宴会のシーンです。近年修復され、すっかり色が明るくなりました。これが宴会の場面なのは疑いようがありませんが、飛び込む人については、なんだか分かっていません。
これは組み立てたところ。石棺の内側に絵が描いてあるのです。この石棺に眠っていた人はどんな人だったのか、めっちゃ明るい人だったらしく、ひたすら楽しそうな絵が魅力です。今、気が付いた。飛び込み競技を宴会しながら楽しんでるんですね。飛び込みの場面だけ枠取りがあるし、きっとそうだ。眠っていた本人は、見ていた方か飛び込んでる方か。熱狂的なファンだってこともありえます。
こっちの方がどんなものか伝わりやすいですね。家の形をしていて、女性だからかとか想像しますが、男でも家形はあります。屋根の部分が無くなっていますが、ここに眠っていた人は動物好きな優しい人だったらしく猫が、足元で心配そうにしていて、馬や鳥も描かれています。お化粧もきちんとしているようです。
最後にもう一個だけ、この絵なんか、物凄くシュールというか、現代の大人の絵本みたいな感じです。三途の川を渡ろうとしているのでしょうか。カロンなのか悪魔的な天使が最高です。牛の毛の柄も勢いがあります。
この他にも面白いフレスコがたくさんあって、上手だなーふ〜んって言いたくなる、ギリシャの壺絵が並んでいるのとは随分と趣きが違います。もちろん彫刻や浮き彫り、いろんな展示物が丁寧な説明付きで見られるそうです。
古典ギリシャは西洋文明の原点として、世界史に輝いています。中でもヴィーナスやサモトラケのニケなど絶対的に美しく、特に美術に関しては文句のつけようがありません。ですが古典ギリシャの絵画というと全く残っていないので、この紀元前5世紀に描かれた、誰かのとても愉快なお墓の絵は、パエストゥムの名を世界的なものにしているのです。
旅について:私は考古学は苦手で、一般的なことしか知りません。だからパエストゥムにもまだ行ってなし、泊まろうとも思ってないけど、アマルフィにでも一泊して両方見ちゃえばいいかなーとか考え中。
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