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2018年1月11日木曜日

モリーゼ:困難を乗り越えて手にする歓び

「イタリア歴史と美術の旅2018」について:モリーゼに行ってみたいという私の希望から、今度の旅の参加希望者は悩まされていると思います。イタリアに何度か行ったことのある人でも、なかなか思いつかない場所だから。

San Giorgio, Petrella Tifernina

イタリア中旅している私の、唯一残した州なんだから当たり前です。これに付き合ってくれるという人がどのくらいいるのか分かりませんが、私の旅はいつも、少人数精鋭!の旅ですから一応提案してみようと思ってやっています。池田健二著「イタリア・ロマネスクの旅」(中公新書)に掲載されている聖堂に、ペトレッラ・ティフェルニーナが載っています。アブルッツォ地方の中に入れられていますが。その165ページに「ペトレッラ・ティフェルニーナのサン・ジョルジョはイタリアで最も訪れにくいロマネスク教会かもしれない。・・・そうであるがゆえに教会への想いはつのる。到達するのが困難であればあるほど、その前に立つ時の歓びも大きいのである。」とあります。


当然ですが、様々な捉え方や解釈があるし、感覚的な問題になれば全く違った印象を持つことも少なくありません。私はこの本に出てくるほとんどの聖堂へ行っていますが、書いてあることと違った意見を持っている箇所もあります。でもきちんとした本で、何より珍しい情報ですし、カラー写真図版で非常に親しみやすい(内容はどうかわからない)と思うので、是非書店で手に取ってみてください。

  
Pietracupa


Sant'Antonio Abate



3枚とも同じ聖堂のものです。ピエトラクーパの大修道院長聖アントニオは、孤高の隠修士のこもった洞穴聖堂が多数残るモリーゼ全体の中で、一番有名で大きく、現在も祈りに使用されている聖堂です。一番下の写真を見ると、マテーラでもそうですが、南イタリアのこの周辺には、こういった洞窟聖堂が様々な形で沢山あるのが分かります。聖堂内の写真がまた感動的です。キリスト教の儀式は時代とともに変化し、儀式のやり方に伴い、聖堂建築自体が変化しました。だから円系の聖堂は初期キリスト教時代のローマなど、数えるほどしかありません。

西洋修道制の父は聖ベネディクトですが、大修道院長聖アントニオはキリスト教修道制の創始者の一人で、砂漠で一人修行しながら、様々な欲望と戦った話は有名で、ボッシュやブリューゲルらも散々描きました。初期キリスト教世界全体で崇拝された聖人です。



いかにも修行〜って感じの洞窟聖堂がいっぱいです。


聖堂内には、ルネサンスの遠近法や自然主義を知らなかった時代の人々のフレスコがところどころ残っていて、それが可愛くていい味を出しています。当時の人々は可愛いとは思っていなかったと思うのですが。その辺は追求したいところです。


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