美術家名や都市などブログ内を検索してね

2017年12月29日金曜日

サルデーニャ島あらまし

「イタリア:歴史と美術の旅2018」の候補地、最後に上がるのはサルデーニャ島です。


イタリア20州のうち特別自治区は5つあり、その内2つが島です。地中海最大の島シチーリア島、それに次ぐサルデーニャ島です。特別自治区というのは、長年独自の文化を保存して来た場所で、いわゆるローマ、フィレンツェを中心とする(と言ってもその二つはかなり違うけれど)イタリア文化とは、かなり違っているので、地域限定の言語教育があったりする、そういう場所です。都会化が進むと、いわゆる伝統文化は失われるのが一般的ですから、世界中どこでも似て来ます。

私が数十年前に初めてミラーノへ行った時、一ヶ月ロレートというミラーノのど真ん中のアパートに下宿しました。働く中年女性が空いた部屋を貸している所に、大学の友人と二人で一ヶ月泊まり、イタリア中あちこち旅して回りました。英語が通じるという話は全くの幻想に過ぎず、私の片言イタリア語がどれだけ役に立ったかわかりません。その時、一ヶ月、個人で勉強しただけのイタリア語の通じることに感動したのが、私のその後の人生を決めました。十代の時に初めてロンドンへ行った時には、書いたら正しい文章がいかに通じないかを痛感させられていたので、イタリア語の発音のし易さに驚いたのです。

初めてのミラーノ生活は勿論最高に楽しいものでしたが、ミラーノは東京とそんなに変わらないという印象も持ちました。ローマやフィレンツェの方が良かったな、と思ったものです。勿論、ミラーノは東京とは全然違うけれど、勉強不足の学生にはそう感じられました。当時シチーリアへは行きましたが、サルデーニャには行けず非常に残念でした。なぜなら、友人はシチーリアをそれほど気に入りませんでしたが、私はとても感動したので、サルデーニャも素晴らしいに違いないと確信していたのです。きっと生まれも育ちも東京の私にとって、シチーリアはミラーノよりずっと大きな差を感じさせたからです。その後、イタリアを仕事の中心に据えて、様々なイタリア関係の人々と話すうちに、サルデーニャは、人も文化もいよいよ独自だと考えられていることを知りました。確かに、私が出会ったイタリア人男性で、最も難しい人はサルデーニャ人でした。まだ30才にもなっていなかったのに複雑な人でした。

個人的な話が長くすみません。

サルデーニャ島は、エメラルド海岸という名が示す通り、素晴らしく美しい海と海岸で溢れたところです。場所によってはフラミンゴが群生していて普通に飛んでいたりします。東京ではスズメも居なくなってしまったのに・・。地図が示す通り5つの地区に分かれていて、最も小さな地区に首都カリアリがあります。交通の便は非常に悪く、そのため空港が4つもあります。

北西の地域はスペイン色が濃く、内陸に行くほど地元色が濃くなります。島全体に、ヌラーゲという謎の古代文明の遺跡があちこちに残り、その幾何学的な形態は大変幻想的です。不気味な仮面をつけて踊り狂う、伝統舞踊と音楽もそれぞれの地に残り、盛んに活動が行われて居ます。ダイビングで珊瑚を取ることもできるほど、山のように珊瑚が取れるので、珊瑚を使った様々なデザイン(古典的、伝統的、現代的、抽象的)の装飾品が特徴ある産業の一つです。歴史は異常に古く、古代ローマの跡もありますが、私にとっては中世のロマネスク様式の聖堂がたまりません。な〜んにもない平原にポツンと建つ聖堂は、主に島の中北部に幾つも点在し、ロマネスクといっても随分と異なった様式で作られています。

もしサルデーニャに行くなら島だけで一週間過ごしたいと思います。




0 件のコメント:

コメントを投稿