以前からイタリア語の単語の使い分けを考えてきた。
例えば日本語では、国立西洋美術館、トビ(東京都美術館)、上野の近代博物館、さらに銀座のギャラリーなどと言って「絵画館」という言葉は滅多に使わないが、(美術館は絵画館とほぼ同義語だろうか?)これをイタリア語にはめてみると
博物館 → museo(ムゼーオ)
美術館 → pinacoteca(ピナコテーカ)
ギャラリー → galleria(ガッレリーア)
となる。ムゼーオはギリシャ神話の学芸を司る女神(ムーサ)たちの住処が源だから、ある意味なんでもあり。彫刻、絵画はもちろん文字資料とか手工芸品、衣服、発明品や建築物の破片とか。
それに対しピナコテーカは「平たい板」からできた言葉で、これは紙や布(キャンバス)は新しく、昔は基本的に板絵なので板絵を集めた処、要するに絵画館。
ギャラリーは回廊という意味で、イタリア語ではトンネルのことも指すし、屋根で覆われた、部屋ではない建築的な空間のこと。だからミラノのヴィットリオ・エンマヌエーレのガッレリーアとかトリノの結婚式の撮影に使ったりする高級商店街のガッレリーアとか、なる。トンネルと高級商店街が同じ言葉というのも不思議だ。東京なら中野のサンモールもブロードウェイも(いつも笑える名前だ)ガッレリーア。話は逸れたが、イタリア語でも美術館に使われるが、それは長い回廊にズラ〜っと絵が並んで掛けられていたからで、本来は絵には無関係の言葉。
あと訳が難しいけど
accademia(アッカデミーア)がある。
これは元は学会など高等教育機関を表し、〜クラブのように使われるようになった。秘密結社っぽい。だからイタリア語では本当ならaccedemia dell'arte(芸術の学会)とする。
しかしピアノやオペラと同じで短縮して頭の部分だけで言っても判ることは少なくない。
写真はchiostro(修道院の中庭を囲む回廊空間)で、ルッカの聖フランチェスコ聖堂の回廊だった。これもガッレリーアの一例。
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